2015年8月アーカイブ

今月のおすすめ本

穴が動く? 穴あき絵本の面白さ0829book01.jpg


 表表紙から裏表紙まで、本の中心に穴が開いた絵本で、このシンプルなしかけを生かした秀逸な作品。
「もしもし...あの、穴を見つけまして、ぼくの部屋で...」。主人公が壁にみつけた穴。ページをめくると、構図が違う絵では別の場所に穴があいていることに。「ええ...穴が、動くんです」。困り果てた主人公は、ある研究所に助けを求め、苦労して穴を箱に入れて電車に乗り道路を渡り、研究所まで穴を運ぶ。穴はどのページにも同じ大きさ、同じ位置にあるのだけれど、物語の中では車の車輪になったり、マンホールの穴になったり女の子の鼻の穴になったり、大きさを変え性質を変え、変幻自在に姿を変える。そしてラストは...。
これまでこんなアイデアがあっただろうか。ちょっと大人のユーモアがわかるようになった年齢から。




しなやかでたくましい普通の女性たち

 
 森の植物の写真と、50歳の女性の顔を自然光で撮った写真―。それらを交互に配し、谷川俊太郎の詩をコラボレートした作品。
写真撮影を担当した田淵章三さんは「50歳の女性が、どんな世代よりも一番リアルに人生が顔に出るのではないかと思った」という。
〝普通の女性〟を写した1枚ずつの写真からは、一人一人に積み重ねてきた日々があり、それぞれの物語があることが察せられる。そしてその奥にはまた、物語では語りきれない詩も秘められている。

〝これまでがつい昨日のように思える日/これからが地平線に消える一本道のように思える日〟

彼女たちの日々は明日からも続いていく。
緑もえる雑木、葉影の赤い実、明るい雪原に影を落とす枯れ木―。森の四季の一瞬をとらえた写真が美しい。



紹介者 : 野洲市立野洲図書館 宇都宮香子さん