2015年10月アーカイブ

今月のおすすめ本

子おへんじやーい、へんじしろ

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 最近、手紙を出しましたか?もらいましたか? 電子メールなど便利なものがあふれる現代だからこそ、手間のかかる手紙はより心を届けてくれるかもしれません。
 ねこのくろくんは、引越ししたシャムちゃんに手紙を書いています。その様子に仲良しのとらくんは不思議顔。「おてがみ」ってそんなにいいもの? さらに、なかなか来ない「おへんじ」をめぐって二人は取っ組み合いになってしまいました。その時とらくんは思いつきます。「おへんじ」を迎えに行けばいいんだよ!さて二人は無事「おへんじ」に会えるでしょうか。
 思いやる気持ち、待つ時間の豊かさ。手紙の持つ魅力が、生き生きとした二人の表情を通じて伝わってきます。シリーズの「とらねこさん おはいんなさい。」「まるごとたべたい。」―どれも読み終えた後、思わず顔がほころぶ絵本です。




きっとそこにあなたがいます

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あの頃、永遠という言葉が怖かった。「永遠に」出会えないものが多過ぎて取りこぼしたものを思って泣いた。それだけ私の世界は小さかった―。
 主人公・岸本紀子は、どこにでもいる普通の女の子。彼女の小学三年から高校卒業までを回想でつづった物語です。誕生日会、クラスの団結、怠惰な思春期、初めてのバイト、不器用な恋愛...。何気ない出来事に一喜一憂しながら「永遠の出口」に近づいていく彼女の姿に、読み進めながら何度も自分を重ね合わせました。実際の経験は違っても、誰もがきっとどこかで味わったことのある、でも言葉に出来なかった心の機微を、ユーモアを交え丁寧に描いた作品です。
 70年代から80年代の風景を知る女性に特におすすめです。今だからこそ、胸の奥にある小さなうずきをやさしく受け止められるかもしれません。



紹介者 : 草津市立図書館 森野雅子さん