2016年6月アーカイブ

今月のおすすめ本


book01-0625.jpg〝数〟の面白さ、奥深さ


 昔、インドに一人の王様がいました。王様の米蔵には人々から召し上げたお米がいっぱい。ところが飢饉(ききん)の年がやってきても、王様はお米を分け与えようとしません。
 王様から一つご褒美をもらえることになった村娘のラーニが望んだのは、1粒のお米。それを次の日は2粒、その次は4粒というように、30日間〝前の日の倍の数〟もらうこと。ささやかな褒美だと、その願いを聞き入れた王様でしたが...。
 「たった1粒のお米がこんなことに!?」と、ページをめくるごとに驚きも倍増。〝数〟の面白さ、奥深さに目を開かれる思いがします。インド細密画を取り入れた美しいイラストも見事。特に30日目、見開きのページは圧巻です。賢いラーニが知恵の力で王様をこらしめる痛快なストーリーは、小学校中学年から大人まで幅広く楽しめます。




「教えてくだせえ、三成のこと」
book02-0625.jpg 近頃、県内で石田三成の人気が高まり、各所で企画展も開催されているとか。そこで、数ある三成小説の中から、今回は一風変わったこちらをご紹介しましょう。
 舞台は、かの関ヶ原合戦から30年を経た泰平の江戸。そんなご時世に、関ヶ原と石田三成について調べて回る一人の町人が現れます。西に東に関ヶ原の生き証人たちを訪ねては、彼らの話を聞き集め、最後に必ず三成とはどのような人物かを問いただす。そこには意外な目的が...。
 本書の面白さは、関ヶ原という一つの事象を三者三様の目線で捉えられる意外性と、全編通して方言にまみれた語り口調であるためか、まるでその場に居るかのような臨場感が味わえるところでしょうか。三成の印象もご近所さんを語るがごとく。戦国英雄譚(たん)に食傷気味の方に、こんな石田三成はいかがでしょう。


紹介者:野洲市立図書館
     谷口雪子さん(こども本)・武藤佳央理さん(おとな本)