2016年9月アーカイブ

今月のおすすめ本

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金色に光り輝く、子どもたちへの愛

 ドイツのハーフェルラントの村に、リベックじいさんが住んでいました。リベックじいさんは子どもが大好き。秋になり、屋敷の庭にあるなしの木に金色の実がなると、リベックじいさんは、それをかごいっぱいにもいで子どもたちに声をかけます。「なしをひとつ、いかがかな」。そうして何年もの年月が流れ、リベックじいさんはおだやかに天に召されました。
 ところがその後にやってきたいじわるな跡取り息子は、庭に柵を作って、なしの実をひとりじめにしてしまいました。しかし、リベックじいさんはそんなことはお見通しでした。自分がいなくなったあとも子どもたちになしを食べさせてやりたいと、遺言を残しておいてくれたのです。
ドイツのなしの木の伝説を下敷きにかかれた、美しい版画の絵本。表紙のリベックじいさんの満ち足りた笑顔が印象的です。





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女性スタッフがみた黒澤明監督


 先日、黒澤明監督・三船敏郎主演映画「用心棒」とその続編「椿三十郎」をみました。他の映画もみたいと思っていたところ本書をみつけました。黒澤映画の長年のスクリプター(記録)だった著者が書いた黒澤組回想録です。
 戦後の日本映画界の混乱、黒澤明監督の苦悩、極寒のシベリアでの撮影、監督と三船敏郎らとの逸話など、黒澤映画の撮影話が著書自身の味のあるイラストと共に軽快に語られています。カメラワークから作中の音楽までこだわった監督に、スタッフが悪戦苦闘しつついかに応えたか、40秒の映像にも労力を惜しまずに映画が作られたことが本書でわかります。
 しかし、それらの大変な苦労話も、著者の柔らかい人柄がうかがえる文章のおかげで楽しく読むことができます。当時の撮影風景が目に浮かび、映画作りがとても魅力的に感じられる本です。



紹介者:大津市立図書館/西本麻理子さん(こども本)・戸田みつるさん(おとな本)