2016年10月アーカイブ

今月のおすすめ本

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ぬいぐるみは一番最初のおともだち


 鼻にかみつかれたり、首を持ってふりまわされたり、大きな耳で鼻水を拭かれたり。あの子の大事なぬいぐるみのゾウ、キリン、ライオンはもううんざり。こんどはもっといい子に買ってもらえるように、こっそり家出して動物園の売店に帰るつもりです。それなのにあの子が泣いて自分たちを探していると聞かされて、なぜだか胸がきゅーっと痛くなってしまいます。
 手荒な扱いを受けていたはずなのに、思い出すことはうれしいことばかり。売店かあの子の元か。果たして彼らが選んだ道は。
 あの子を思って揺れるぬいぐるみたちの心情が丁寧に描かれています。やさしく、少し憂いを帯びた挿し絵がそれを引き立ててくれます。
4ページごとにカラーの挿し絵つき。小学校低学年からはひとり読みにもおすすめです。






ひとりの研究者と日本の文化

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 日本文学研究の第一人者ドナルド・キーンさんは2012年、日本人になりました。この本はテレビ番組でのインタビューを活字化したものです。
 アメリカ生まれのキーンさんが初めて日本の文化に触れたのは1940年、英訳版『源氏物語』を読んだときでした。その後、大学や海軍で日本語を修得し、1953年に京都大学の留学生になります。
 日本美の真髄は銀閣寺にあると彼は語ります。床の間に生け花、墨絵といった現代人が連想する日本の伝統は東山文化が完成したものです。日本の美意識の特徴は質素なものを好むということ。彼もその質素な表現に心ひかれるというのです。
 東日本大震災の直後、「今こそ日本人とともに生きたい」と決意を表明。56年間勤めたコロンビア大学を退職し、日本に居を定めました。日本を愛する彼は日本人の底力を信じているのです。



紹介者:守山市立図書館/井澤知恵さん(こども本)・天谷真彦さん(おとな本)