2016年12月アーカイブ

今月のおすすめ本


ぼくはウサギ、旅するウサギです

 主人公は旅好きなウサギさん。見た目は少年のようで、言われなければウサギには見えない。旅のスタイルは一人旅。長い旅や短い旅(ウサギさんによると〝さんぽ〟も含まれる)、いろんなところへ出かけていって、いろんな人に出会い、おいしいものを食べる。どこか日本的な景色の中、ローカルな旅をしているような、ゆったりした時間が流れる。本文と関係のないスケッチ風の挿絵も現実とファンタジーのあいだのような不思議な雰囲気を作り出している。
 一つ一つのエピソードはどれも短くて、どこから読んでも楽しめる。ワクワクする冒険や大事件は起きないけれど、心に残る言葉が、ところどころに散りばめられていて、読み応えは十分。次はどんな旅に出合えるのか、ページを開くのが楽しみになる一冊。





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卵かけご飯いただきます!

 お人好しで自称「ツイてる男」ムーさんこと村田二郎は、限界集落と呼ばれる蛍原村で養鶏業を営んでいる。ある日ムーさんは、村の活性化のため、自慢の卵を使った「卵かけご飯専門店」をつくると宣言する。 山奥に客は来ないというみんなの心配をよそに、なんとか開店はしたものの、にぎわったのは最初だけ。日に日に客足は遠のき始める。果たして村を元気にしたいというムーさんの願いはかなうのか...。
 無謀な開店に反対していた村の人たちが、いつのまにかムーさんの前向きな思いや人柄にひかれ、店に関わっていく。これは住民主体で地産地消という限界集落再生のヒントにもつながる。
 蛍原村の豊かな自然が全編に描かれ、ムーさんの卵かけご飯がとてもおいしそう。読後はほっこりとしたやさしい気持ちになること間違いなし。




紹介者:東市立図書館/奥野善久さん(子ども本・おとな本))