2017年3月アーカイブ

今月のおすすめ本

0318book01.jpg

あたらしいともだちできるかな


 さっこちゃんはあたらしい家にひっこしてきました。かたづけに忙しいおとうさんとおかあさんをおいて、ひっこしのあいさつにいきました。けれどおとなりはひっそりとしていて誰もいません。
 そこでさっこちゃんは、ひとりのはらでお花をつんであそびます。のはらをたんけんしていくと、かわいらしいおままごとセットを見つけました。「おとなりの子のかな?」そう思ったさっこちゃんはタンポポをかざります。おやつを食べる間もおとなりが気になって仕方がありません。ふたりはともだちになれるかな?
 色鉛筆で描かれた絵はやわらかく見る者を温かい気持ちにさせてくれます。さっこちゃんの表情もとても豊かに表現され、新しい場所に引っ越してきた女の子の期待と不安な気持ちが手に取るように伝わってきます。新しい出会いの季節にぴったりの絵本です。



0318book02.jpg
29年の生の輝き、まさに青春

 この本は不思議だ。村山聖(さとし)という棋士が将棋に賭けた生涯をかなしいほど淡々とつづっていくその文章に、〝質量〟を感じるのである。本文ではシンプルに表現された言葉が並び、村山の歩んだ道を確実にトレースしていく。
 羽生、佐藤といった一流の天才棋士たちとの真剣勝負、師匠の森とのやり取り、とぼとぼと歩くその姿...。それらを客観的に表現する一語一語が重みを持って、読み手に少しずつ蓄積されていく。それは人の一生、努力、熱情、そういったものが塊として感じられるからかもしれない。
 読了感は決して〝重く〟はない。むしろある種の爽やかさまでもが感じられる。それはタイトル通り「青春」を描いた作品だからであろう。昨年映画化され、主演の松山ケンイチは「全身全霊をかけても足りない役」と語っている。小学校高学年にも読んでもらいたい一冊。




紹介者:守山市立図書館/井澤知恵さん(こども本)・竹村直也さん(おとな本)