わが家の珍事件
「わが子が自分から勉強してくれたらなぁ」と思ったことはありませんか? そのために家族ができることって…? 家庭学習を充実させるためのポイントを、教育の専門家に聞きました。イラスト/かわすみみわこ
- 例えば、自宅(やそれ以外の場所)で宿題や自学自習をすること、塾で学ぶこと、遊びや外出を通して、知的な興味を深めることなど…。学校の授業以外の学び全部が含まれます。
- 教えてくれたのは
- 滋賀県教育委員会事務局 幼小中教育課
村田耕一さん、一伊達統(いちだて・あつむ)さん
滋賀っ子の家庭学習の時間は少なめ
国立教育政策研究所が公開している平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査の回答結果より作成
毎年、小学6年生と中学3年生を対象に行われる「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)。滋賀県は平成31年度実施分(昨年4月実施)では、小中学校とも全実施教科(小学校は国語・算数、中学校は国語・数学・英語)において6年連続で全国平均を下回りました。
また、アンケート形式で行われる学習状況調査の結果も併せて見ると、滋賀では「家庭学習の時間が1時間以上」と回答した割合が全国平均を下回っていることもわかりました。
「学力と家庭学習の量は一定の相関関係にあるといえます。では家庭学習の量さえ増やせば学力は上がるのかというと、そうした単純なことではないのですが、家庭学習を効果的に行えば、学校での勉強をよりしっかりと定着させられるので、大切なのは確かです」と滋賀県教育委員会の村田耕一さん。
そこで、子どもの家庭学習を充実させるために、親ができることは何なのかを、2面で教えてもらいました。
子どもが安心して勉強できる雰囲気があると、いい感じ!
「家庭学習の時間を充実させるために、まず大切なことは〝子どもが安心して学習できる居場所を作ってあげること〟」と村田さん。例えば、子どもが勉強するときはテレビの音量を下げる、居間で勉強を始めたら近くで親も読書を始める、普段からたくさん会話をして子どもから質問しやすい雰囲気にする…などといった応援の形を提案してくれました。
直接勉強を教えてあげるというよりは、勉強を始めた子どもの気持ちに寄り添い、「その頑張りを受け入れているよ」といった姿勢を示すことが大切なのですね。
「できた」が学ぶ意欲に
このほか、年齢ごとのアドバイスも。
「小学校低学年のうちに『漢字が書けるようになった』『時計が読めた』など、学ぶ喜びをいっぱい体験できると、机に向かう習慣につながると思います」と村田さん。「低学年期は具体物を使った学習を通して基礎力を培う時期。リンゴを切りながら分数を一緒に考えたり、親子で散歩しながら『こんな花が咲いてるよ』と季節を見つけたりするなど、日常と結びついた学びがあるといいかも。こうした基礎の積み上げが、高学年で抽象概念を学ぶ際に生きてきます」
また、高学年では、この数年で滋賀県ほか多くの都道府県でも宿題の一部として取り入れられている「自主学習ノート」を活用するのがおすすめ。「例えば漢字を10回書いて覚える子もいれば、1回で覚える子も。ペースも、わからない部分も一人一人違います。その点で、自主学習ノートは、自分なりの方法で授業を振り返ったり、興味のあることを調べたりできるので効率的」
この時期に自分で計画を立てて学ぶ力をつけておくと、中学・高校での自主勉強にもつながり、将来、主体的に課題を解決する力になるといいます。
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滋賀県教育委員会では、「第Ⅱ期 学ぶ力向上滋賀プラン」という5カ年計画を2019年度から実施。まずは「早寝・早起き・朝ごはん」など基本的な生活習慣を図り、文章や情報を正確に読み解き理解する力、相手とのやりとりから読み解き理解する力の育成に重点をおいた授業づくり・学校づくりを推進しています。
「これらの目標を達成するためには、家庭での学習習慣の定着も重要」と一伊達統さん。家庭学習の進め方に悩むときには、各学校がおたよりやホームページで発信している「家庭学習の手引き」を参考にすると良いとも。
また、「中学校の定期テスト期間に合わせて、同じ学区の小学校の家庭学習強化週間を実施するなど、小・中学校で連動した取り組みも進んでいます」とのこと。小・中学校に分かれるきょうだいのバックアップも考えられているのですね。
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日本キッズコーチング協会
マネージャー・田中京子さん電子書籍「どんどん才能が伸びていく! 男の子の育て方攻略法」を出版。テレビのバラエティ番組に出演するなど幅広く活躍する滋賀在住の二児の母
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答えを間違えるとやる気をなくす
子どもは「ちょっと頑張ったらできた」が大好き。無茶ぶりされてできないとすぐ嫌になるし、簡単すぎてもつまらないと感じます。子どものレベルを
見極めて勉強を勧めては -
集中力がない
もともと生き物が集中力をつけたのは狩りをするため。集中力を高めるには虫捕りや魚つかみなどの外遊びがおすすめです。植物などの観察もマル。また、適度な運動をしてから勉強すると集中力が高まることが専門家の研究でわかっています
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遊びだしたら止まらない
裏を返せば集中力があるということなので、熱中している間は声をかけないで続けさせたほうがいいかも。ただし、ゲームなど中毒性のあるものは別。最初に時間を決めてキッチンタイマーで終わりを知らせるなどの対応を。時間は親が決めるのではなく、話し合って子どもに決めさせて
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親の説明を聞かない
始めから間違いを指摘するのはNG。たとえ全問間違っていたとしても、「最後まで椅子に座ってできたね」など、まずは認めてあげてから説明するといいかも
どうする? 子どもが勉強に身が入らないときは…
上のようなよくあるお悩みに、日本キッズコーチング協会マネージャーの田中京子さんがアドバイスをくれました。
「親定番の『遊んでばかりいないで勉強しなさい!』はNGワード。いきなり命令形で言われると子どもは反発したくなります。そのほか、『勉強した?』もおすすめできません。『はい・いいえ』で答えるクローズドクエスチョンは、相手がウソをつきやすいんです。例えば『何時から始める?』など、5W1H(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように)を意識して、相手に答えさせるオープンクエスチョンで話しかけるほうがいいですよ」