「なんでできへんの?」【こそだてDAYS】
昨年企画した、滋賀のお店や企業の制服を紹介する特集の第2弾。一着に込められた思いや、優れた機能について紹介します。
気分は小粋な〝コンシェルジュ〟
コープしが
滋賀県内で約20万人が加入する生活協同組合「コープしが」。現在県内に3カ所ある店舗の制服は、社員による制服委員会で決めたものと聞き、お店をのぞいてみました。
きっかけは2015年の「コープぜぜ店」のリニューアル。制服も一新しようと、各部門の社員とパート職員による制服委員会が結成されました。「おしゃれに」「親しみやすく」「仕事内容が組合員(客)にわかるものを」などの意見が交わされ、エプロンとキャスケットを共通アイテムに、各部門の業務に合わせたトップスやパンツ、靴を組み合わせたスタイルに決定。店舗として統一感の感じられる色調やデザインにまとめています。店舗事業部の河部容子さんは「『〝コンシェルジュ〟になった気分』と社員のモチベーションが上がりました」とにっこり。スタッフの明るい笑顔の原動力になっているようです。
丈夫で防水性の高い生地を使ったエプロン。ペンを刺せる小さい胸ポケットが便利
制服には、できる限りリサイクル素材を選びました。
この服の上に着用する防寒用のブルゾンは、ペットボトル由来の繊維を使っているんですよ
〝赤と黒〟に込めた思いとは―
琵琶湖博物館
受付や案内だけでなく、展示を通して来館者と交流することで、身近な自然や生活に目を向けるきっかけづくりを行う「琵琶湖博物館」の展示交流員。そのユニフォームは、どんなシーンでも動きやすい赤ジャンパー(夏はブラウス)と黒パンツの組み合わせを基本に、仕事内容や気温によって、中に着込んだり、エプロンをするなどアレンジできます。ネームプレートには各自が動植物や展示物関連のアイテムを付けて、来館者との会話のきっかけにする工夫も。
実は1997年の開館当初は、京都の染色家による麻素材のオリジナル服でしたが、耐久性やコストの面から、10年前に今の制服に変更。「赤はお客さまの目を引き、黒は展示物を引き立たせる〝黒子〟を表現しています。赤と黒の色使いには『来館者との交流を大切にした博物館に!』という変わらない思いが込められているんです」(展示交流員・今泉美保さん)
1.初代制服の模様をアレンジしたポシェットはスタッフ有志の手作り。ローテーション表や展示物の資料などを入れ、来館者の質問に答えられるよう準備 2.ビワコオオナマズやクンショウモのマスコットが子どもたちとの会話に一役!
レトロモダンにおもてなし
びわ湖花街道
ハイカラさん風のはかま姿が華やか! 「おごと温泉 びわ湖花街道」の客室案内係の制服は、2001年の創業時に、大正ロマン漂う温泉旅館というコンセプトに合わせて決定したデザインです。昨年末のリニューアルで建物は近代風にイメージチェンジしましたが、 制服は同館らしさを残すため引き続き採用されることに。
和装は着るのが大変なのでは?と思いきや、一人で簡単に着付けられる構造になっていて、慣れれば15分くらいでOKのこと。「膝をついて立ち上がったとき裾を踏んだり、袖でものを引っ掛けたりと失敗もありますが、『かわいいね』と声をかけられることも多く、気に入っています」と写真の高詩瑶(こう・しよう)さん。レトロスタイルのおもてなしで、非日常感のある時間を過ごせそうですね。
旅の思い出の一つになるとうれしいです
はかまの裾にあしらわれた刺しゅう。〝乙女〟な柄がかわいい!
動きやすいデニムでさっそうと!
ヤマモト運送
県内を中心に配送業務を行う「ヤマモト運送」の作業着は、こなれ感のあるデニムの上下。「人手不足対策として 〝カッコいい制服で差をつけよう〟と考え、2018年冬から導入しました」と部長の山元洋平さん。ビンテージ感のある風合いとスリムなシルエットがおしゃれなタウンウエアのようです。丈夫な上に伸縮性が高いので、荷物の運搬や積み下ろしなどどんな動作も楽々。同社にはもう一種類ソフトツイル地の作業着があり、配達先によっては〝きちんと感〟のあるそちらを着るそうですが、「若手にはデニムが圧倒的に人気ですね。こんな遊び心のある仕事着を選べるのも中小企業の強みかな」と笑う山元さん。この春からは同社初の女性ドライバーも登場するとか。ハンサムな仕事姿が目に浮かびます。
デニムというと堅めの生地なのかと思いきや、驚くほどのストレッチ感! 洗うほどに味わいが深まるといったデニムならではの魅力も備えています