ロクハ公園で
坂木司/著 文藝春秋(1250円・税別)
たかがおやつ、されどおやつ
「和菓子のアン」の著者の初エッセー集。パフェやミルフィーユ、最中(もなか)や羊羹(ようかん)など、和洋問わず著者の思い入れのあるおやつについて書かれていますが、どこから読んでもおやつに対する並々ならぬ愛情が伝わってきます。
初めておやつを口にしたときの感動だけでなく、それに出合うまでの経緯や、そのとき周りと交わした会話、さらにはお店のショーケースや菓子箱のパッケージに至るまで、おやつを取り巻く全てのものが一つになって忘れられない記憶となるー。おやつにはそんな不思議な力があるように私は思います。
おやつは「なくても生きていけるけど、あった方が絶対に楽しい」。一日の中で、今日はどのおやつにしようかな、と真剣に悩む時間があっていい。ただおやつを楽しむだけのひとときがあってもいい。そんな風に思わせてくれる一冊です。
紹介者:大津市立和邇図書館/瀧澤奈緒さん
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