簡単筋トレで、健康ちょきん(筋)!
11月14日は「世界糖尿病デー」。そこで今回は、40歳を過ぎてから発症する場合がほとんどといわれる「2型糖尿病」にフォーカス。毎日の暮らしを見直して、健康のこと、考えてみませんか。イラスト/オカモトチアキ
そもそもどんな病気?
糖尿病という病名は知っていても、詳しい知識はほとんどなかった記者。
「糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が正常より高い状態が続いてしまう病気です。その原因は、血糖を下げるホルモン・インスリンの不足や、インスリンの働きが悪くなることにあります」と山本泰三さん。そのメカニズムを説明したのが下の図です。このように血管中でブドウ糖が渋滞し、血管を傷めている状態が何年も続くと、細小血管障害や動脈硬化などの血管合併症が起こることもあるそう。
ちなみに、糖尿病には1型と2型の2種類が。1型は子どもや若年層に多く、自己免疫の異常などによってインスリンの生産がうまくできなくなる病気。一方、2型を発症する人の多くは40歳以上の中高年。インスリンの分泌が十分でない場合や、分泌はされているけれどうまく働いていない場合など人によってさまざまです。罹患(りかん)している人の中には、血縁者にも糖尿病歴が見られるケースもあるものの、生活習慣の乱れが関係していることが多いとか。糖尿病患者の10人に9人以上は2型に該当します。
- 取材したのは 記者K
- 20代から10kg増えた体重が気になる44歳
- 教えてくれたのは
- 滋賀県立総合病院
糖尿病・内分泌内科科長 山本泰三さん
〝いろんな病気の入り口〟
では、血糖が高い状態が続くと、合併症としてどのような病気を発生することになるのでしょう?
「大きく分けると、毛細血管のような細い血管が傷められたことによって起こる合併症『細小血管障害』と、太い血管での合併症『大血管障害』に分けることができます」と山本さん。細小血管障害には、進行すると失明のリスクもある網膜症や、しびれなどが起こる神経障害、悪化すると人工透析が必要になる腎症が含まれます。一方、大血管障害は、太い血管に動脈硬化が起こり、心筋梗塞や脳卒中を発症しやすくなるというもの。また、動脈硬化による血流障害が原因で神経障害を起こし、けがをしても発見が遅れ、その結果壊疽(えそ)が起こるということもあります。
「それだけではなく、歯周病や認知症、うつ病なども発症しやすくなることもわかっています。糖尿病は〝いろんな病気の入り口〟なんですよ」
〝サイレントキラー〟と呼ばれるワケ
糖尿病の大きな特徴は、かなり重症化してからしか自覚症状が出てこないこと。これが〝サイレントキラー〟と呼ばれるゆえんです。
「そのために大切なのは、こまめに健康診断を受けることと、健診結果をきちんとチェックすること。早期発見されているにもかかわらず、症状がないために放置され、その結果重症化してしまった…というケースも少なくありません」
健診で「要再検査」と書かれていても、「忙しいから、そのうち…」と通院を先送りした経験のある記者には耳の痛いお言葉…。ちなみに、血糖値の数値は「200~300mg/dlの人は赤信号、150mg/dlあたりから黄信号」とのことです。自身の健康を振り返る目安にしてくださいね。
とにもかくにも健診!
結果もしっかりチェック
- ●排尿が頻繁になる
- ●のどが渇く
- ●体重が減る
- ●疲労感
- ●皮膚の傷が治りにくい
- ●手足の感覚が低下 or チクチク刺すような痛み
どんな生活習慣を心がければ?
では、2型糖尿病を予防するためには、どのような生活を心がければ? 山本さんの意見をもとに、一覧表にまとめました(下)。
どれも基本的なことばかり!…とはいうものの、忙しいと甘いものについ手が伸びてしまったり、夕飯づくりを手抜きして野菜が不足してしまったりする記者。「こんな工夫も取り入れては?」と提案があったのが下のイラストの内容です。
糖質だけでなく、脂質の取りすぎにも注意
さらに山本さんは「スイーツやチーズ、揚げ物など、脂肪分の多いものを食べ過ぎないで」とも。〝糖〟尿病というと、糖質の取りすぎが良くないのかと思っていましたが…。
「糖質制限ダイエットが流行していることもあり近頃は糖質が悪者にされがちですが、脂質の取りすぎも要注意です。糖尿病・脂質異常症・高血圧は〝悪友〟といわれ、いずれかにかかっていると、それ以外の進行を加速しやすい傾向が。バランスよく少しずつ食べることが大切です」
2型糖尿病予防の
- ◆バランスの取れた食事(魚多め、和食中心、多品目を少量ずつがオススメ)
- ◆よくかんで満腹感を得て、腹八分目に
- ◆夜遅くに食べ過ぎない
- ◆お酒はほどほどに(缶ビールなら、1日に350ml缶1本が目安)
- ◆適度な運動
- ◆禁煙
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食後など、こまめに歯磨きをすると、つまみ食いを減らせます
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食器はあえて小さめをチョイスして、食べる量をコントロール
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最近のフルーツは甘くて糖質が高め。おいしくても、1人で1回に何個も食べ過ぎないで!
鍵の数が少なかったり、鍵がうまく開けられないと、血管にブドウ糖が渋滞し、血管を傷つけてしまうんですね