「食の好みは親ゆずり?」【こそだてDAYS】
蜂飼耳/文 牧野千穂/絵 ブロンズ新社(1400円・税別)
静かな雪の日の幻想的なおはなし
雪の日にだけ現れる道と、同じく雪の日にだけ現れる〝ふわふわころり〟。ぼくは、その特別な道を通ってふわふわころりの家へ行き、きゅうっと甘いお菓子をごちそうになります。
そこへ灰色の雲を連れて〝ゆきぐも〟がやってきます。ぼくはゆきぐもに、熱を出した妹うさぎのためにうちへ来て雪を降らせてほしいと頼みます。ゆきぐもは、ある物と引き換えにそれをかなえてくれました。
幼いうさぎの兄妹が、ゆきぐもが降らせる雪を無邪気に眺める様子と、その後に兄うさぎがお母さんになぜかついてしまった小さなうそ。印象的なこの一連の流れは、少し切なくも優しく温かな気持ちになります。
語られすぎない静かで心地よい文章に、柔らかく幻想的な絵があいまって、子どもだけでなく大人も楽しめる絵本となっています。寒い日におうちでゆっくりと読んでみませんか。
紹介者:守山市立図書館/木村理奈さん
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