読者が体験 いつものメイクを〝今どき〟に
「私、めまい持ちやねん」、そう話す人、特に女性に多い気がします。身近なようでいて、でも、詳しいことはよくわからない…。そんなめまいのことを専門家に教えてもらいました。イラスト/オカモトチアキ
めまいの症状
- 天井がぐるぐる回っている
- 頭がふらふらする
- 目の前が真っ暗になる
など
そもそもめまいはなぜ起こるの?
「私たちの体は、耳、目、筋肉などを通して得た情報を脳で統合し、その情報を全身の筋肉に伝えることでバランスを保っています。この情報に異常やずれが生じると、体のバランスが崩れ、めまいという症状が起こります」と教えてくれたのは、増田耳鼻咽喉科医院の医師・釆野舞侑さん。
ちなみに、めまいを伴う病気には、耳の平衡感覚と関係があるものがとても多いよう(詳細は後半)。「耳の中には三半規管と、前庭(別名「耳石器=じせきき=)という平衡機能をつかさどる構造があります。三半規管は体の回転などを、前庭は体の傾きや地球の重力などを感知しています。耳と脳がバランスを保てるように連携しているので、体を動かしても姿勢を保てるのです。これらの機能に異常をきたすとめまいが起きます。また、三半規管と前庭の隣には、聞こえの機能に関係した『蝸牛(かぎゅう)』があるため、めまいと難聴が同時に起こることもあります」
出やすい年齢・性別・気候は?
めまいには、出やすい条件のようなものがあるのでしょうか?
「耳のめまいは女性に多い傾向が。その一つであるメニエール病の発作には寒冷前線通過や低気圧が関係していることもわかっています」と釆野さん。
また、平均寿命が延びたことで、加齢によるふらつきで受診する人も増えているそう。
「ほかには、ストレス社会の影響か、3カ月以上続くような慢性めまいの人も増えています」
- 教えてくれたのは
- 増田耳鼻咽喉科医院
医師 釆野舞侑さん
原因は、実はいろいろ
「めまいを起こす病気はとても種類が多いです」と釆野さん。一例を下にまとめました。
また、めまいの特徴によって何科を受診すればいいかも違うそうなので、下の表を参考にしてください。「迷う場合は、まずはかかりつけ医や耳鼻科に相談して」
ちなみに、受診の際医師に伝える情報としては、「いつ」「何をしている時に」「どのようなめまいが」「どれくらい続いたか」「めまいの時に起こった随伴症状(聞こえにくさ、など)」について伝えると良いそう。ほかには「お薬手帳」を見せたり、持病のある人はそれも伝えて。「めまいは脳梗塞や脳腫瘍など、命に関わる頭の病気の症状として現れることがあるので、脳の検査を受けることも大切です」
めまいを伴う代表的な病気
1. 耳が原因のめまい
- 良性発作性頭位めまい症
- 寝返りしたとき、急に振り向いたときなどに、数秒~数分の〝ぐるぐるめまい〟を繰り返す
- 前庭神経炎
- 突然の激しい〝ぐるぐるめまい〟が起こる。めまいは数日でおさまるが、体を動かしたときのふらつき感が数週間、数カ月間残ることが
- メニエール病
- 難聴や耳のつまった感じ、耳鳴りとめまいを繰り返す。めまいは、数時間から数日ほどで軽くなり、おさまることが多いが、このような発作を、月に数回、年に数回繰り返す
ほかにも、たくさんの病気が…
2. 脳に原因があるめまい
- 椎骨脳底動脈循環不全
- 首を回したり、過伸展して起こるめまい。視覚障害(霧視・複視など)、意識障害(気が遠くなるなど)、吐き気、手のしびれ感などが起こる
- 小脳腫瘍・出血・梗塞
- フラフラ感・酩酊(めいてい)感・頭痛など。そのほかに、手足・顔面の動きにくさやしびれ感、ろれつが回らない、ものが二重に見えるといった症状が伴う場合は脳の病気の可能性が高い
3. 全身に原因のあるめまい
- 血圧の異常からくるめまい
- 高血圧や低血圧、起立性低血圧(立ち上がったときや立っているときに急に低血圧になってしまうこと。クラッとするめまいを起こす場合あり)、貧血、不整脈などが原因となることがある
- 自律神経の失調からくるめまい
- ストレスや不規則な生活習慣、更年期など、ホルモンの変調から、めまいなどの症状が出ることがある
- 頸(けい)性めまい
- 首を回したり、過伸展して起こるめまい。頭痛や肩こり、手のしびれといった症状を伴う
\ 何科へ行けば? /
受診のめやす
-
- 耳鼻咽喉科
- グルグル回るめまい、聞こえにくさを伴うめまいのとき
-
- 脳神経外科、神経内科
- まひ、ろれつが回らない、手足のまひやしびれ、けいれんなどの神経症状がある場合(中には緊急性を要するものも)や、意識レベルの低下、激しい頭痛やけいれんなどがある場合は救急車を呼ぶこと
-
- 内科
- くらっとする立ちくらみのようなめまい
-
- 婦人科
- 女性の場合、更年期障害の一つとしてめまいが挙げられるほか、月経前症候群(PMS)に伴って起こる場合も。また、婦人科腫瘍の不正出血による貧血でめまいが起こることも
車や自転車での通院はNG!誰かに付き添ってもらうのがベター
起こりにくくするためには?
めまいを起こりにくくするための〝生活習慣のススメ〟を釆野さんが提案してくれました(下表)。❸の「有酸素運動」は、「内耳循環を良くしたり、内耳のむくみを取ったりすることが期待できる」とのこと。また、筋力がアップすると、筋力低下で体がふらつくといったリスクを軽減できます。
また、❶・❷を見るとストレスとも関係が深そう。「すべてのめまいにストレスが関係しているわけではありませんが、メニエール病などはストレスと関連性があります」
生活習慣のススメ
- 過労を避け、ゆとりのある生活を心がける
- 睡眠を十分取り、規則正しい生活で自律神経を整える
- 適度な運動を定期的に行い、筋力アップを目指す(おすすめは、散歩、水泳などの有酸素運動)
- 塩分・脂肪の取り過ぎに注意
- タバコは吸わない
- 気象情報(低気圧、台風、寒冷前線)に注意