三日月大造さんらが 170句の応募作の中から選んだのは― 読者が詠んだ「琵琶湖の句」
「麻布ハレー」
松久淳・田中渉/著 誠文堂新光社(1404円)
76年に一度の奇跡
時は1910年。東京にある麻布天文台では、76年に一度発生する「ハリー彗星」に向けて、天文学者らが準備を進めていた。作家志望の青年・佐澤國善は、面倒を見る少年を捜しに来たのが縁で、彼らと共に過ごすようになる。年齢や職業もさまざまな研究所の仲間たちと打ち解けていく國善。しかし、別の感情をもってひかれたのは、不思議な雰囲気を宿した晴海という女性だった。
時空を越えた場面展開が壮大で、ロマンチックな作品です。淡い恋心だと思っていた國善と晴海の関係が、これほどの運命に導かれたものだったとは。そして、博学ながら親しみを感じる研究所のメンバーに、実はこの物語にとって重要な役割を担っていた天才少年・栄。周りの人物もとても魅力的で、こんな人たちと一つの夢を目指してみたい、と思わずにはいられません。
紹介者:野洲図書館/大﨑優美さん
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