
「母に休みなし」【こそだてDAYS】
言葉を話しだす前の小さな子どもや赤ちゃん。「どうやって遊んであげたらいいの?」「もっと喜ぶ方法はある?」と悩む新米パパやママもいるのでは? さまざまな知恵を持つ人たちに話を聞きました。
イラスト/かわすみみわこ
子育て総合支援センターゆめっこ
保育士・西川幸枝さん(左)
保育士・鍋谷典子さん(右)
センター内で、子どもたちとのふれあい遊びや手遊び、絵本の読み語りなどを担当
1歳の息子がいる記者。育休中、息子と接していて「赤ちゃんって意外と遊ばないなぁ」と驚いたことがありました。「子どもは遊びの天才」などとよく聞くので、おもちゃを見せれば喜んで使ってくれると思っていたのに、反応はいまひとつ…。
「小さな子どもには寝食や排せつの世話が必要なのと同様、実は遊びも最初は大人が誘導してあげる必要があります。小さな子はおもちゃを見ただけでは、どこに興味を持てばいいかがまだよくわからないんです」と「子育て総合支援センターゆめっこ」の西川幸枝さん。だから、子どもをよく観察し、その子が楽しくなるポイントを見つけてあげることが大切だといいます。
ちなみに、一緒に遊ぶときに使うのは、身近なものでOKだそう。そういえば、市販のおもちゃでは遊ばなかった息子が気に入ったのは、風船状に膨らませたビニール袋でした。「紙一枚だって、丸めたり、破ったり、落として見せたり、いろいろ遊べます。興味を示したら、すかさず『何の音かな?』『一緒にやってみようか』と話しかけて」と西川さん。
「子どもの成長に遊びは重要。体を動かすことは筋肉の発達を、遊びを通して感じる達成感や、一緒に遊んでくれる人に対して感じる安心感は心や知能の発達を促してくれます」。子どもの遊びは娯楽以上の存在なのですね!
帰宅後は家事に追われがち。息子と遊ぶ時間が足りていないかも…。そんな記者の悩みについても聞いてみました。すると、「家事を見せることも遊びの一つと考えては」と鍋谷典子さん。そう言われ、私がたたんだ洗濯物を隣で散らかしては得意げにはしゃぐ息子の笑顔を思い出しました。
もう一つ大切なポイントが。「子どもは同じ遊びを繰り返すのが好きなので、大人が先に飽きがち。でも、子どもが満足するまで付き合ってあげて。情緒の安定や意欲の向上につながります」。一緒にいられる時間は限られていても、〝量より質〟を目指し、満足のいく遊びタイムを探っていきたいです!
2人の女の子の父である浅野能成さん。自身の子育て経験においても大活用したという絵本について、興味深いアドバイスをくれました。
「子どもに絵本を読んであげるとき『ページを勝手にめくって聞いてくれない』と悩んだ経験はありませんか? そこはぜひ、子どものペースで。『途中のページが飛んだ』『最後まで読まないと気が済まない』という人もいるかもしれませんが、子どもから見れば、ページをめくれば新しい絵が出てくること自体遊びなのです。『絵本は読むもの』という固定概念を外すと、親も子も楽しくなるかもしれませんね」
ファザーリング・ジャパン滋賀
副代表・浅野能成さん
「父親であることを楽しむ人が増えるような社会を目指す」を合言葉に講演会やイベントを実施
手や頭などを使って遊べて、「できた!」といった達成感が味わえるおもちゃが中心にそろう「絵本と木のおもちゃの店ぴっぴ」。同店を運営する株式会社らぴっぴ・代表の永井多代子さんは元保育士。保育関係者の利用も多い同店で、出産祝いに人気のおもちゃを聞きました(下)。
「子どもの発達に合ったおもちゃを上手に選ぶと、その時々に必要とされる力が遊びを通して身に付くんです」と永井さん。当特集の冒頭で「息子がおもちゃで遊ばない」と感じた記者の経験を紹介しましたが、それは、自宅にあったおもちゃが当時の息子の興味や発達に合っていなかったのかも…と、おもちゃ選びの奥深さに触れました。
絵本と木のおもちゃの店ぴっぴ
永井多代子さん
今年開店10周年。保育などに関する講演会なども開催。草津市野路1-12-11-102、TEL:077(569)3003。午前11時~午後6時、月火休(祝日の月曜営業)