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家族の介護を担う人の中には、仕事との両立に悩む人も。そこで、負担を軽減するためのアドバイスや、利用できる制度について専門家に聞きました。イラスト/オカモトチアキ
記事協力/京都リビング新聞社
早めに相談して環境を整えて
「介護は身体介助だけではありません。日常生活全般の世話をはじめ、病院や介護施設への連絡、ケアマネジャーとの打ち合わせなど、しなければいけないことがたくさんあります。親と別居している場合は、遠距離介護や転居などの段取りも必要。核家族化が進み共働き世帯が増えている現代では、家族だけで、それらすべてを行うには限界があります」
そう話すのは、京都府地域包括・在宅介護支援センター協議会の川北雄一郎さんです。
「本格的に親の介護が始まる50〜60代は、職場で責任のある立場に置かれている人も多く、介護のための時間をつくりづらいという実態が。両立に悩み、結果として離職する人も少なくありません。このような介護離職者は年間約10万人、そのうち7割が女性といわれています」
離職には、介護に専念できるという利点がある一方、別の問題が生まれることもあるようです。
「介護は終わりが見えず、長ければ10年近く続きます。離職すればその間、収入源がなくなりますし、介護が終わった後の再就職が難しいという現実も。自分の老後も考慮したうえで判断したいですね」
もしもに備える関係性づくりを
「仕事を続けながら介護を行うには、なるべく早くから介護対象となる本人の要望を聞き、家族、職場、専門機関に相談しながら、負担を一人で抱え込まない環境を整えましょう」と川北さん。
「迷惑をかけたくない、と職場に相談できない人も多いようですが、介護の可能性を前もって上司や人事担当に伝えておけば、いざというときに協力を得やすくなります。
介護に関する悩みは、介護対象者が住む地域の地域包括支援センターに相談できます。また、ケアマネジャーは家族の事情も踏まえてケアプランを作成します。いま介護中という人は、仕事と両立する上で困っていることを率直に伝えることで、その都度ケアプランを見直し、必要なサービスを活用しましょう」
介護対象者となる親と別居していると、日々の見守りや緊急時の不安も。そういう人は「帰省したときにご近所さんや町内会にあいさつなどしておきましょう。日頃から交流し、助けてもらえる関係になれると心強いですね」と川北さんは言います。