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昔から地元の人の暮らしを支えてきた商店街。大型スーパーマーケットの出店が続く滋賀県の中でも、活性化に取り組む商店街がいくつかあります。今回は、その中から5カ所を取材。今年の抱負も聞きました。
ナカマチ商店街
アーケードの長さは約600m
三つが連なる商店街
- 丸屋町にある「百町市場」。スタッフはボランティアがメインで、高齢者の買い物支援を行うなど、地域貢献にも力を注いでいるそう
- 尾中さんが見せてくれた、アーケードが設置されていない頃の商店街の写真
- 「歩いて楽しい、昔ながらの雰囲気が魅力です」と話す尾中克行さん
浜大津にある、「丸屋町商店街」「菱屋町商店街」「長等(ながら)商店街」の三つが連なる、全長約600mのアーケードが続く商店街の総称が「ナカマチ商店街」です。
「私が子どもの時分はたいそう活気があって、買い物といえばここ。プレゼント用の品など特別なものを探しにも来ました」と話すのは、尾中克行さん。同商店街を含む、旧大津市街地の活性化に取り組む団体「百町物語」の代表理事で、現在は丸屋町で生鮮食品などを扱う「百町市場」の店先に立ちます。
尾中さんによると、大津市内で初のアーケードが完成したのは菱屋町。1955年、1千万円をかけた工事は当時の話題に。次いで丸屋町、長等にもアーケードができ、それぞれにぎわっていた商店街も時代の流れとともに衰退していきます。
2015年4月には、大手スーパーマーケット「西友」が菱屋町から撤退。その後は、周辺の店舗も激減、大きな危機を迎えます。そんな中、商店街の有力者が〝地域おこしに協力を〟と、地元のスーパーマーケット「平和堂」へ出店を要請。2017年に「フレンドマート大津なかまち店」が誕生しました。
こうした経緯もあり、個人店、大型店との連携を大切にしているそう。
「近所にマンションが多く建ち、子どもも増えて新店がオープンするといった動きもあります。今年も『百町まつり』や『夜市』、年末の『餅つき』などを実施。皆さんに喜ばれ、商店街の各店舗が参画しやすい、継続的な活動に取り組んでいきます」
膳所商店街
歴史ある地域ならではの
〝ガイド灯〟が好評
- 「膳所商店街」の看板がついた〝ガイド灯〟は、エリア内に100本あるそう
- オリジナルキャラクター「ぜんきち君とぜんこちゃん」が描かれた、例年12月に行われる「歳末感謝祭」の景品の缶バッジ
- コミュニティー通貨「まちのコイン」の導入を知らせるのぼり。商店街の活性化につなげているとか
- 「膳所商店街振興組合」理事・池田利広さん
かつて徳川家康が築かせたという、膳所城跡の城下町エリアに位置する「膳所商店街」。旧東海道沿いの広い範囲に、約30軒の店舗が並びます。
「膳所商店街振興組合」理事の池田利広さんは、こちらで生花店を営む3代目。「昔はこの商店街にもアーケードがありました。近所の膳所高校の生徒が、『雨の日でも駅から濡れずに行ける』なんて言っていたものです」と懐かしみます。
老朽化によりアーケードは撤去され、現在は「膳所商店街」のプレートが取り付けられた街路灯が目印に。「実はこれ、街路灯であり〝ガイド灯〟でもあるんです」と池田さん。柱の部分に2次元コードがあり、スマートフォンをかざすと周辺の歴史情報が表示されるという仕組み。歴史あるエリアならではのアイデアで好評とか。
「振興組合の立ち上げが1965年ごろ。執行部や組合員の高齢化が進み、後継ぎがいないため閉めるお店も増えました。だからこそ、たくさんの人が集まり、楽しめる仕掛けやイベントの計画が必要です」と話す池田さん。毎年開催される秋まつりでは縁日ブースなども出て、多くの人が来場するそう。
「もちろん今年も実施します。一昨年に復活させた『膳所音頭』も、一緒に踊ってください」
石山商店街
〝場を提供する〟プランで
イベントも組織も成長へ
- 「石山商店街振興組合」が事務局を置く「石山らんらんサロン」。地域住民のサークルなどにも利用可能で、商店街が目指す〝暮らしの広場〟のコアとなる施設となっています
- リアルな職場体験ができるイベント「子どもミュージアム」。これまで利用したことがない店を、親子で知るきっかけにもなっているそう
- 若手メンバーがデザインしたエコバッグは1000円。これを持って石山商店街へ買い物に行くと、サービスを受けられる仕組みもユニーク
- 商店街の目印は街灯。大津市で初の街灯のLED化に踏み切ったのが、こちらの商店街なのだとか
「うちはもともと〝企業城下町〟の商店街として誕生したんです」とは、「石山商店街振興組合」専務理事の大岩信順さん。100年ほど前に「東レ」が瀬田川沿いの石山エリアを拠点とし、これを機に個人店が集まったのが、やがて商店街になったとか。
「当時は人が集まり、すごい混雑だったそうです。1965~70年頃がピークで、その後は厳しい状況が続いています」
そんな中で「商店街の活性化のために必要なのは、地域と歩む〝暮らしの広場〟としての役割だ」と気づいた大岩さん。
例えば、夏の風物詩として地元の人たちに親しまれる「石山土曜夜市」。当初は、店側から客へのサービスの役割を果たすための催しでした。回を重ねるごとに、ダンスや音楽、大道芸など、多くの人が参加できる場を提供したところ、今や一日に2万人が訪れる規模に成長。「組合の正会員・賛助会員を合わせると150軒超えという会員数も、プランの構築がファン獲得につながっているはず」と分析します。
今、力を入れているのがコスプレイヤーと出会える場や、子どもの職場体験をできる場の提供とか。「意欲的な若手メンバーを中心に、さまざまなプランをつくっているので、期待してください」
草津駅西口商店街
コンセプトは〝共存共栄〟
クリスマスブーツはその旗印
- 草津駅西口商店街会長の田中さん(左)と、前会長の立岡さん
- 子どもたちが思い思いのブーツを作って応募する「クリスマスブーツギャラリー」も毎年好評。ホテルや銀行、不動産店など8カ所で展示し、投票・審査も実施
- 商店街にはホテルやスーパーマーケットなども加盟
JR「草津」駅西口からさらに西へ進み、徒歩で15分ほど。湖南幹線に突き当たる手前辺りまでが、「草津駅西口商店街」のエリアです。
「当商店街の発足は今から50年ほど前のことです」と、「草津駅西口商店街」前会長の立岡功成さん。写真館を営んでいた父・将光さんから聞いた話として、「初代の会長さんが意欲的で、周辺の店に声を掛けて加盟店のメンバーを増やされたようです」と話します。
「コンセプトは〝共存共栄〟。現在、加盟店は57軒で、スーパーマーケットや商業施設、ホテルに銀行、医院なども含む少し珍しい編成の商店街ですね」と、会長で「クサツエストピアホテル」社長の田中孝和さんもうなずきます。
商店街を挙げて一丸となって取り組むのが、毎年12月に草津駅前に出現する、高さ3・5mの巨大なクリスマスブーツの展示と、これを中心としたさまざまなイベント。
きっかけは、加盟店で菓子容器の製造を手掛ける「近商物産」が〝クリスマスブーツ発祥の企業〟だったことから。現在は地元企業・住民の交流や活性化につながる、冬の風物詩として定着しています。
「コロナ禍でも安全面に工夫して、中止することなく続けてきました。これからも商店街になくてはならない行事です」(田中さん)
守山中央商店街
昔の面影を伝えつつ
子どもたちのために活性化を
- 「守山中央商店街」は、中山道守山宿として栄えた通りが中心。「今でもどこにどんなお店があったか、しっかりと記憶に残っている」と堀井さん
- 今から20年ほど前に設置された街路灯は、守山宿の通行手形を模しているそう
- 写真集「草津・守山・栗東・野洲の昭和」(樹林舎出版)には、堀井さんの祖母が営んでいた、布団問屋「堀井商店」の1956年ごろの様子も掲載
- 「守山中央商店街」会長・堀井美津江
さん
「守山中央商店街」は、1400年代の後半にはその原形となるものがあったとか。
「守山は、江戸時代に整備された中山道の宿場町で、当時は〝京発ち守山泊まり〟という言葉があるくらい旅人に知られ、栄えていました。守山駅付近は空襲を免れたこともあり、由緒ある昔の町並みが残っていますよ」と、同商店街の会長・堀井美津江さん。
ここが地元で、父も商店街会長を務めた堀井さん。「戦後は70軒ほどあったお店が徐々に姿を消し、現在の加盟店は16軒ほど。この事態には寂しさとともに、気がかりが一つ。商店街を支えられなくなれば街路灯の維持も厳しくなります。ということは、暗い道が増えるということです」
守山市は若い世代の転入者も多く、登下校の子どもたちが商店街をひんぱんに通るため、3人の子を育てた母としての立場からも、商店街が担う〝防犯〟の役割を大切にしたいそう。
「商店街が大切に続けてきたのが、昨年で30回を迎えた『もりやまいち』です。市内の全中学校から有志の子どもたちが参加してくれるなど、明るいニュースもあります。ノスタルジックな雰囲気は大切にしつつ、今後も商店街を盛り上げ、活気ある街づくりにつなげたいですね」