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給食や家庭の食卓でなじみ深い牛乳。滋賀にも、地元ならではの牛乳があるのを知っていますか。その特徴や抱える課題、今後について専門家に聞きました。地元のシェフが考案した牛乳レシピも紹介します。
現在、滋賀県ではどれくらいの牛乳が作られているのでしょう。
「滋賀県農政水産部畜産課」の古川桃子さんによると、「牛乳のもとになる生乳の生産量は年間で約1万7000トンです。県内の酪農家は今年1月時点で27軒、乳業メーカーは12社。搾った生乳は毎日メーカーの工場へ運ばれ、新鮮な状態で処理されます」
そして早々に県下のスーパーや道の駅、農産物直売所などで販売されるのだとか。
「県産牛乳の特徴は鮮度。風味もよいと思います」と話すのは、「JA全農しが畜産部畜産酪農課」の中西有理さん。「種類が多いのも特徴で、14種類の牛乳が作られています」
ちなみに滋賀の学校給食の牛乳は県産中心で、地域ごとに提供メーカーが違い、味にも違いが。「子どもの頃から飲んでいるという理由で、大人になっても地元メーカーの牛乳を選ぶ人もいますよ」(古川さん)
しかし酪農業界は今、飼料の高騰などで生産コストが上がり、人手不足や高齢化の問題も加わって経営を続けるのが困難な状況に。さらに牛乳の価格上昇で消費者が買い控えた影響も受けているとのこと。滋賀県でも酪農家の廃業が続き、ここ10年ほどで数が半減したといいます。
県産牛乳は個性さまざま。「牧場の環境やエサ、乳業メーカーの処理の違いで味が異なります。これだけ種類を楽しめるのは滋賀県牛乳の特徴かなと思います」と中西さん。飲み比べて、〝推し牛乳〟を見つけても
写真提供/滋賀県
このままでは県産牛乳が入手困難に?
「規模拡大(増頭)する生産者もおり、生乳の生産量は一定量を保っています」と中西さん。
コスト抑制策として、食品廃棄物をもとにしたリサイクル飼料の活用も進んでいるのだとか。
「県と全農で『県産牛乳みんなで応援事業』を展開し、県産牛乳の魅力を発信も。生産者と関係団体、行政が協力し酪農の維持・発展に取り組んでいきます」と古川さん。
中西さんは「生産者には新鮮で安心・安全な牛乳を作っていきたいという思いがあります。県産牛乳を知って、もっと飲んでいただくことが、一番の応援になりますよ」
この人に聞きました!
滋賀県
農政水産部 畜産課
古川 桃子さん
「温めた牛乳にティーバッグを入れて煮出す、ミルクティーがお気に入りです」
地元のお店にレシピを聞きました!
牛乳にひと手間加え、家族みんなに喜んでもらえそうな一品に。気軽にトライできるレシピを、滋賀にある飲食店に教えてもらいました。撮影/三國賢一(Aoi ワインとお料理)、桂伸也(デザート専門店 あおいそら)
牛乳たっぷりのホワイトソースを手づくり
ホワイトソースづくりは難しいイメージがありますが、覚えておくと重宝しそう。オーブンでグラタンを焼くうちにマカロニが水分を吸うので、トロトロ食感が好みなら、いったん仕上げたソースに牛乳を足してゆるめて調整を。「お店で提供しているグラタンを、家庭で作りやすくアレンジしたレシピです」と隠岐さん。
<材料(1~2人分)>
〜ホワイトソースの材料〜
作り方
※むきエビの代わりにカニ風味かまぼこなどを使っても
シンプルな材料で、あっという間に完成
温かいポタージュが加わると、食卓が一気にグレードアップ。野菜の甘みとミルクのまろやかさがよく合います。「カリフラワーは冷凍のものでもOKですよ」と、隠岐さんからのアドバイス。また、カリフラワーをニンジンに替えるなど、違う野菜でアレンジしても。気軽に作れて、〝ごちそう感〟のある一品です。
<材料(4人分)>
作り方
※味見をしてコクが足りないと思ったら、仕上げにバターを足しても
※写真は1人分
牛乳とイチゴでかわいいデザートに
地域やメーカーなど、それぞれ味が違う牛乳。「うちはデザート専門店で、アイスクリームなども自家製。牛乳は親しみのある素材で、日々、たくさん使いますよ」と高橋さん。「このパンナコッタは、牛乳が味の決め手。低脂肪乳だとおいしくできないので、成分無調整のものを使ってくださいね」
<材料(6個分)>
〜イチゴソースの材料〜
作り方
※イチゴソースの材料のユズの皮は、あればでOK(入れなければ イチゴらしさが楽しめる。レモンなどで代用はしないほうがよい)
※パンナコッタの液をグラスに流し込んで、冷やし固めてもおしゃれ
アレンジ自在、アガーのデザートドリンク
ゼリーを作れば、ほぼ完成。固まるのを待つ時間も楽しいおやつドリンクです。コーヒー以外にいろいろアレンジしてみても。「ゼリーは、常温でも溶けないアガー(植物性ゼリーの素)で作るのがポイント。ゼラチンだと牛乳を注いだりするうちに溶け出し、おいしく仕上がりません」(高橋さん)。ゼリーをくずして、混ぜながらどうぞ。
※アガーは、一般的なスーパーマーケットの製菓材料コーナーで販売されています
<材料(1人分)>
作り方
※もっと甘いのが好みであれば、飲むときにガムシロップなどで調整するとよい