「息子がついた嘘」【こそだてDAYS】
「ラブリィ!」
吉田桃子/著 講談社(1404円)
この世は「見た目至上主義」?
井出拓郎14歳、映画製作が趣味。クラス一目立たない地味な涼子。しかし拓郎は彼女の立ち居振る舞いに気高さを感じ、彼女を主演に映画を撮ったところなんと、青少年創作映像コンクールの特別審査員賞を受賞。
喜びもつかの間、作品に対して世界的映画監督から寄せられたコメントが「主演女優のブス子がラブリィ」。拓郎は容姿主義に違和感を覚えるも、涼子をブスとはやし立てるクラスメートから「なに正義の味方ぶってるんだよ」と言われ、こともあろうに涼子の前で叫んでしまう。「ブスを主役にして何が悪いんだよ!」と…。
自分の保身で涼子を傷つけ、自己嫌悪に陥る拓郎と、彼を取り巻く親友のイケメン榎木、美少女亜美奈。それぞれの悩みが絡まり、少しほどけて、また絡まる。14歳、少しだけ戻ってみたい気持ちになった。
紹介者:栗東市立図書館/西村貴代美さん