ムカッ やきもちやいた
「修復家だけが知る 名画の真実」
村 絵美留/著 青春出版社(810円)
美術館で会いましょう
絵画修復には芸術家の視点より科学者の視点、つまり調査・分析、科学的専門知識・技術が要求されるのだそうです。
傷みや汚れのある絵を元の状態に復元したり、現状以上の損傷を食い止めるため、作品で使われている絵の具やキャンバスなどの状態をX線や薬品を使って調べ、損傷具合や原因を突き止め最もふさわしい処置を施す…「絵画のお医者さん」という説明にも納得です。
描かれた瞬間から劣化が始まり、やがて修復が必要になる宿命を背負っている絵画。私たちが今も名画を鑑賞できるのは、修復家たちの仕事のおかげなのです。
絵の下に眠っていた岡本太郎の「幻の名作」、傷みやすく修復も高度な技術が必要な藤田嗣治作品、絵の具を混ぜないことで傷みにくいモネ作品など、修復家の数々の経験談で、画家のこだわりや精神まで垣間見られ、絵画鑑賞がさらに楽しくなる一冊です。
紹介者:栗東市立図書館 /吉川 しのぶさん