梨狩りの時季だけ! 「おもて梨キッチン」で完熟梨を堪能
深まる秋は、ゆっくり読書をするのにぴったりの季節。いつもと違う場所で、いつもと違う本を手にとってみませんか。本を通じて新しい世界が広がるようなそんなブックスポットを訪ねました。
大人にしみる絵本の館
むあ文庫
自宅一階を改装したカフェには、季節ごとのテーマに沿った絵本を展示。年末までのテーマは「色と形の物語」。表紙がアートのようで見ているだけでも楽しい。
日吉大社の門前町の一角に、この5月にオープンした「むあ文庫」は、木立に囲まれたとんがり屋根の書庫とカフェが隣り合う、絵本の1ページのような隠れ家空間。約4000冊もの絵本や児童文学書から好きな本を、好きな場所でゆっくり読むことができます。ほとんどの蔵書は、店主の岸本麦さんの両親が大学生のころから少しずつ集めたもの。
「両親はそのためにこの書庫を建て、10年前まで一般の人にも開放していたんです。自分にとって子どものころの思い出が詰まっている場所で、価値のある本も多い。再びこの空間を今の時代の中で生かすことができないかと思って」
絵本は子どものものと思いがちですが、改めて本棚をじっくりと見ると、昔の好きだった本に胸がときめいたり、きれいな絵やおもしろい題名に興味をそそられたりと、大人もしっかりと楽しめます。「実は人間の普遍的なテーマを取り上げている絵本も多いんです。子どものころはわからなかったことがリアルに感じられたりと、大人だからこその発見がありますね」
そんな岸本さんの思いに呼応するように、男女問わず1人でゆっくり本を読みに来る客が多数。「感動した」「夢みたいな時間だった」という人や、「昔息子に読んだ絵本に再会できた」と涙した80歳のおばあさんもいたそう。「本との出合いや再会を通じて、自分のことや人生のことをゆっくり考えられる場になればいいですね」
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天井まで蔵書がぎっしりの書庫は、静かで落ち着く小空間。カフェとはスリッパで自由に行き来できる。
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主に滋賀県産の体に優しい素材を厳選。庭のカリンの実で作った酵母入りはちみつショウガの全粒粉クッキー(右250円)、いちじくの米粉ガトーショコラ(450円)、紅茶(600円)
〝日常〟を楽しくする提案がいっぱい
&cafe
ナチュラルテイストの落ち着く店内。席と席の間にゆとりがあるのでベビーカーでも気兼ねなくゆっくりできる
書店として県内最大級の売り場面積を誇る大垣書店フォレオ大津一里山店。そのすぐ隣にある「& c a f e 」は「買った本をすぐに読める場所がほしい」と書店に寄せられた声から生まれたカフェスペースです。暖色系の照明が心なごませる広い店内は、本や雑誌を広げたり、仕事や勉強をしたり、おしゃべりしたりと思い思いのスタイルで過ごす人の姿が印象的。「小さいお子さん連れのお母さんや、朝一番に来て、モーニングもランチも食べてゆっくりされる年配の方も多くおられますね」と店長の山田剛史さん。
本屋直営カフェならではの仕掛けもいろいろ。本棚には、自由に読める本が常時200〜300冊。書店の各分野の担当者がセレクトしているから、話題の本をチェックできたり、新しいジャンルと出合うきっかけにもなりそう。記者は最近気になる健康に関する本をしばし立ち読み。
入口の特設コーナーには、シーズンごとのテーマに沿った本が紹介されているほか、塗り絵やフラワーアレンジメントなどのワークショップや音楽ライブなども開催。生活に彩りをプラスしてくれる〝第二の部屋〟として〝普段使い〟したくなりました。
書店で1000円以上購入すると、カフェ利用が50円引きに。また、11月30日(木)まで、カフェで「リビングを見たよ」と言うと、先着20人に幼児〜小学生の学習に役立つグッズのプレゼントもあるので、この機会に利用してみては。
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自家製デミグラスソースが風味豊かなオムライス(680円)はランチ人気ナンバー1。フルーツケーキ(470円)などケーキは7種類
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カフェスタッフの堀康太さん(右)と中川瑠南さん。
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特設コーナー。12月上旬までは「子育て応援フェア」を開催。おすすめの一冊は、浜島代志子著「1日7分の絵本で子どもの頭はみるみる良くなる!」(すばる会発行)
本に込めた思いの橋渡しを
半月舎
ざっくばらんに並び、積まれた本をじっくり見ていると、あっという間に時間が過ぎる。上川さんがデザインした雑貨や食品なども何気なくディスプレイ。
こぢんまりした店内にぎっしりと並んだ本、本、本。「半月舎」は、「古本」と「デザイン」を主体に、地域の歴史や文化、人と関われるユニークな店。古本は御子柴(みこしば)泰子さんが、デザインは上川七菜さんがお互いサポートし合いながら、自主制作本の発刊や古本市、音楽ライブなども開催し、今年で7年目を迎えました。
長野県から滋賀県立大学に入った御子柴さんは、城下町彦根の戦後の移り変わりを研究していました。「町に本が捨てられていたのに心が痛んだことと、滋賀には古本屋が少ないことに気付いたのがきっかけ」なのだとか。
現在は彦根市内を中心に、東近江や米原、京都などから引き取った本が、店頭には約3000冊と、自宅などのバックヤードにも在庫多数。重厚な文学書から文庫本までジャンルは多岐に及びますが、地元の郷土史や文学、アート関係の本が多いのが特徴。タイトルや装丁を見ているだけで宝探しをしているような気持ちになります。圧倒的に男性客が多く、歴史談義をしていく常連客も多いそう。
「本は持ち主そのもの。一冊に込められた思いを、次に必要な人につないでいきたい。行き場をなくしそうな本があれば、ぜひ声をかけてください」(御子柴さん)。
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御子柴さんが厳選した新刊も。彦根ゆかりの詩人・高祖保さんの本は、実書店ではほぼ扱いがないのだとか。
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隔月で、滋賀県立大学の教授・細馬宏通さんを迎えて「かえるの学校」という講座を開催