街と山のあいだ
村山早紀/著 徳間書店(629円・税別)
ようこそ風早(かざはや)の街へ
風早の街で戦前から花屋「千草苑(せんそうえん)」を営む花咲家。昔から花咲家の人々は植物をあやつる不思議な力を持っているとうわさされています。空襲の時、薔薇(ばら)や金木犀(きんもくせい)が枝を伸ばしてその屋敷を守ったのを見た人もいたとか。
花咲家の人々はいつもその力を、周りの人たちを幸せにするために使っていきます。秋に桜を咲かせて幼なじみの傷ついた心を慰めたり、コスモスやゼラニウムの力を借りて火事の中から友人を救ったり。どのお話もちょっぴり切なく、やがてほっとあたたかい気持ちになるものばかりです。
村山さんの作品には風早の街がたびたび登場します。そこはどこか魔法めいた不思議な場所で、心優しい人々が支えあって生きるすてきな街です。続編「花咲家の休日」「花咲家の旅」「花咲家の怪」もあります。
紹介者:守山市立図書館/宮本ゆかりさん
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