中野のお父さん
ゴードン・コーマン/著 千葉茂樹/訳 あすなろ書房(1600円・税別)
鏡にうつる、知らない人間。
「おれはチェース・アンブローズ、13歳、屋根から落ちて記憶を失った。父や友人たちによると、おれはアメフトのスター選手で街の英雄らしい。けれど妹や街の人々はおれを見ておびえている。おれはいったい、何者なんだろう」
記憶喪失になり、今まで生きてきた人生の全てを忘れてしまった主人公。自分という人間を構成する全ての経験・感情をなくしたとき、人は果たして以前の自分と同じ人間たり得るでしょうか? もし、過去の自分が全く別人に思えたとして、変わってしまった自分を、周りは受け入れてくれるでしょうか?
それを決めるのは過去の行いではなく、今の自分が起こす行動です。そしてそれは記憶があってもなくても同じ、主人公の周りの人々も、過去ではなく今を考えて決断します。
いつからだって、「新しい自分」は始められるのです。
紹介者:栗東市立図書館/清水優さん
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