矢橋帰帆島公園で
関野吉晴/編 中川洋典/絵 農山漁村文化協会(2500円・税別)
食べることは、他の命に生かされているということ
探検家の関野吉晴さんが、ある大学の課外授業で「カレーライスを一から作ってみないか」と提案しました。カレーライスの具材から盛り付ける器やスプーンまで、一年かけて全て自分たちの手で作ろうというのです。
課外授業(関野ゼミ)に参加した学生は、まずカレーライスが何からできているかを調べました。米や野菜はもちろんスパイスも必要です。これらは農家の方に指導してもらい、種や苗から育てました。そして肉はダチョウなどをヒナから育て、屠畜することに決めました。関野さんが決めたルールは「できるだけ自然に近い形で作物や家畜を育てる」ことだけ。学生たちは悩んだり衝突したりしながら命と向き合いカレーを完成させます。
普段、私たちは食材を店で買っていますが、どれほど苦労して作られたかは意識していません。命を育てることの大変さと食べることの意味について考えさせられます。
紹介者:南草津図書館/山口藍さん