矢橋帰帆島公園で。
倉阪鬼一郎/著 出版芸術社(1400円・税別)
ランナーの数だけドラマがある
最長100kmを走る多摩川ウルトラマラソンは10回完走すると多摩川ブルーの永久ゼッケンがもらえる、地元住民に人気の大会です。真鈴の父は9回連続完走しましたが10回目を走る前に病気で亡くなりました。父の夢を叶えるため真鈴は母と50kmの部を走り、足して100km、10回目の完走にしようと考えます。
他にも、将来を期待されながら故障や障害に悩まされ、この大会で再起を図ろうとするマラソン選手・千々和や、重い病気で余命半年と診断された文通相手を励ますため、同じ病気から回復して50km完走を目指す浜中など、さまざまな理由でウルトラマラソンに挑む人々が臨場感たっぷりに描かれています。
彼らが走る先にはどんなドラマが待っているのでしょうか。マラソンを通じてつながる縁と人の温かさが感じられる、爽やかな小説です。
紹介者:南草津図書館/山口藍さん
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