「ふつうのおんなの子」のちから
駒村康平/編・著 新泉社(2800円・税別)
ペンギン社会の信頼関係のように
格差が広がり制度が追いつかない中で、社会の崩壊を支えようと闘う全国の「しんがり」11人の実践を紹介した本です。
「しんがり」とは最後まで戦場に残り、敵を食い止める命がけの部隊。貧困、ホームレス、ひきこもり―さまざまな問題への取り組み方法はどれも踏み込んだ予想外のやり方で、驚かされます。野洲市の生活相談支援も紹介されています。
けれど、しんがりの頑張りだけに頼っていては社会の再生はできません。コウテイペンギンは酷寒の中、絶食状態で卵を温め、ひなを育て、密集して互いを温めるそうです。そのままでは外側の親子が弱って死んでしまいますが、実は外側と内側の場所を徐々に移動して、しんがりの役を交代で果たすしくみを確立しているのです。ペンギンのように、守ったり守られたりする信頼関係のある社会が人間にもきっと必要です。
紹介者:野洲図書館/宇都宮香子さん
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