「こっちがいいんじゃない?」【こそだてDAYS】
田中清代/作 偕成社(1400円・税別)
闇と光のめくるめく楽しさ
主人公の女の子がときどき見かける不思議ないきもの。大きな瞳、真っ黒で丸っこい〝くろいの〟は、あるときは塀の上にいたり、盆栽の隣に黙って座っていたり。でも他の人たちには見えないみたい。あるとき思いきって声をかけたら、広い庭のある古い日本家屋に導かれ、お茶を出してもらい、うやうやしく押し入れをあけて招き入れられて…。
モノクロで端正な絵は、なにごとかがおこる不思議な予感に満ちています。クライマックスは、自分もそれにさわってみたい!と思わせる息をのむ驚きの場面。日本絵本賞大賞受賞のこの絵本は、日本人で初めてパープルアイランド賞を受賞しました。日本の押し入れの中には別の世界が広がっていることを世界の人にも知ってもらいたい!(このお話の元になったすてきな歌もあるので調べてみてください)
紹介者:野洲図書館/宇都宮香子さん
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