「走る図書館」が生まれた日 ーミス・ティットコムと アメリカで最初の移動図書館車ー
「中野のお父さん」
北村 薫/著 文春文庫(702円)
お父さんは名探偵
文芸雑誌の編集者である美希は、社内で起きた不思議な出来事を実家の父に話してみることにした。すると、父は、理路整然と謎を解き明かしてみせるのだった。
定年間近の高校国語科教師で、最近少しお腹が出てきた父は、作中では「お父さん」としか書かれていない。しかし、確かな人間観察力と豊富な文学的知識を駆使して、8つの短編で安楽椅子探偵ぶりをみせてくれる。そして、何気なくお互いを思いやる父と娘のやりとりにも心がほっこりするのだ。
作者の北村薫さんは、デビュー時は覆面作家だったが、現在は経歴を公表している(もしかすると、中野のお父さんとは…?)。
もっと日常の謎に挑みたい人は、〝円紫さんと私〟シリーズや直木賞受賞作「鷺(さぎ)と雪」を含む〝ベッキーさんシリーズ〟もぜひ。
紹介者:大津市立北図書館/田中 裕美さん
タグ: