春のおむすびころりん
「わたしのマトカ」
片桐はいり/著 幻冬舎文庫(494円)
バラ色の頬をした人たちと出会う旅
2006年公開の映画「かもめ食堂」で主演のひとりを演じた片桐はいりさんが、映画の撮影期間とその後の旅行中に、フィンランドで見聞きしたことをつづったエッセイです。著者はどこか一癖ある人物をさらりと演じる素敵な女優さんですが、書く文章もユニークかつチャーミングです。
はいりさんは言葉の通じない異国の人にも全く物おじしません。路面電車の運転手とはったり合戦をしたり、アジア系食品店で密売めいた応酬をしたり、ファームステイ先のおじさんと泥だらけの農場ドライブを楽しんだり。旅の醍醐味(だいごみ)は現地の人との交流にあるのだなと思わせてくれます。
題名の「マトカ」は、フィンランド語で「旅」という意味だそう。ゴールデンウイークを目前に、少し風変わりなフィンランド旅行はいかがでしょうか。映画の原作「かもめ食堂」(群ようこ著・幻冬舎)も一緒にどうぞ。
紹介者:守山市立図書館/鷲田千佳さん
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