ぼくがげんきにしてあげる
久野恵一/著 グラフィック社(全4巻・各2400円・税別)
手仕事への真摯(しんし)なまなざし
近年、手仕事によるものづくりが注目される中で〝民藝(みんげい)ブーム〟も再燃し、随所で民藝(民衆的工芸)にまつわるあれこれを目にすることが増えました。そうした民藝の作り手と使い手をつなぐ「つなぎ手」を自負し、民藝を守り育てようと奮闘したのが著者・久野恵一氏です。
日本各地の作り手と深い親交を結び、彼らの身を切るような努力を見てきた氏は、作品に込められた作り手の思いを深く理解し、使い手の私たちに熱意のこもった筆致で伝えてくれます。「あの器にこんな秘話が」「そんな思いが」と知れば感慨も愛着もひとしお。
さらに久野氏の周辺を彩る民藝運動家たちの逸話もちりばめられ、彼らの深い洞察に感銘を受けることも。ただの民藝紹介に終わらず、その深淵をえぐるように伝えてくる本書、手仕事を愛する人にぜひ読んでいただきたい。「うつわ」①②、「いろいろ」①②の全4巻。
紹介者:野洲図書館/武藤 佳央理さん
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