矢橋帰帆島公園で
あなたのお子さんは前屈で手が床に付きますか。上体起こしで起き上がれますか。逆上がり、二重跳びができますか。まずは一緒に挑戦してみてください。もしできなかったら、子どもの姿勢をチェック。猫背になっていたり、後ろ姿に左右差がある脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)になっているかも。子どもの姿勢と弊害について、医師に聞きました。(イラスト/杉山なづき)
紙面協力/広島リビング新聞社
腹筋・背筋力低下で猫背や脊柱側弯症に
泉 恭博先生
広島市医師会会員
いずみ整形外科クリニック
(中区)院長
「最近は外遊びの機会が減り、昔より姿勢を保つ筋力が低下しているように思います」と泉先生。背筋をキレイにピンと伸ばしておくには、腹筋と背筋の力が必要。腹筋と背筋が弱いと、首が下がっておなかが突き出た、いわゆる幼児体形や、背中が丸まる猫背、背骨がねじれて曲がる脊柱側弯症になりやすくなるのだとか。「腹筋や背筋が弱い子は、前屈で床に手がつかなかったり、上体起こしで起き上がれなかったり、逆上がりや二重跳びができない子も多いので、腹筋力や背筋力があるかないかの目安にもなります」
腹筋や背筋などの筋力は、駆け回ったり、遊具によじ登ったり、外で元気いっぱいに遊ぶことで自然に培われるもの。しかし、最近は塾や習い事で忙しく、家にいるときは長時間スマホやゲームに夢中になって、下を向いて首を突き出した状態で過ごすことが増えています。その結果、背中を曲げて歩いたり、肘をついて座るほうがラクだと感じて、クセになっている子が多いのだとか。「幼児期から腹筋や背筋の力が付くよう、生活態度や運動を心掛けてほしいですね」と泉先生は話します。
腹筋や背筋などの筋力は、駆け回ったり、遊具によじ登ったり、外で元気いっぱいに遊ぶことで自然に培われるもの。しかし、最近は塾や習い事で忙しく、家にいるときは長時間スマホやゲームに夢中になって、下を向いて首を突き出した状態で過ごすことが増えています。その結果、背中を曲げて歩いたり、肘をついて座るほうがラクだと感じて、クセになっている子が多いのだとか。「幼児期から腹筋や背筋の力が付くよう、生活態度や運動を心掛けてほしいですね」と泉先生は話します。
- 6、7歳で美しい背骨に幼児期の運動が大切
- 約50年間、脊柱側弯症の患者を診療してきた泉先生。その経験から、脊柱側弯症や猫背になる子どもは、体が硬く、筋力が弱い傾向にあると言います。
「人間の背骨は6、7歳で美しく出来上がります。本来背骨は、横から見ればS字状になっていますが、6、7歳ごろまでに、腹筋や背筋などの筋力が付いていないと、背骨が曲がったり、首から腰にかけて真っすぐになってしまうことも。幼児期にしっかりと体を動かして、筋力を付けることが大切です」 - 集中力がない…姿勢が原因かも
- 授業中、じっと座っていられず、すぐにごそごそする―。筋力がなく、姿勢が保持できていないと、集中力も低下してしまいます。「腹筋が強い子どもは、しっかりイスに座れるため、先生の話を集中して聞くことができる」とも。背筋が伸びた美しい姿勢は、健康や勉強、運動に影響するという指摘もあります。
また、猫背は頭が前に突き出すため、肩凝りになりやすく、さらに物を近くで見続けることにもなり、視力低下につながる恐れも。正しい姿勢を意識して生活するよう心掛けましょう。 - 早期発見で早めに対策を
- 「治療が必要なほど曲がってしまった背骨は、コルセットなどの装具や整体などで矯正はできるものの、本来の健全な背骨に戻ることはない」のだとか。学校での運動器検診により、軽症のうちに早期発見できるようになりましたが、異常が見つかっても、痛みなどの症状がないので、放っておかれることが多いようです。
「放っておくと歪みはどんどん進行していきます。変形が大きくなると、呼吸機能障害、背中や腰の痛みを引き起こして、生活に支障をきたす恐れもあります。若いころは大丈夫でも、中高年になってから、痛みや運動障害など、さまざまな問題が起き、手術での治療となることも。将来困らないためにも、早めに対策することが必要です」 - 家庭でも子どもの状態を観察
- 学校検診では、裸になっての検診が難しくなっており、服を着たままでは異常を見逃してしまうことも。「家庭でもお子さんの状態を観察してほしい。裸のときに体のラインが左右対称かどうかをよく見てください。前かがみの状態で背中の高さが違うかを確かめ、明らかな違いがある場合は整形外科を受診しましょう」と泉先生。
健康な背骨を保つためには、背筋と腹筋を鍛えることが重要です。特に腹筋は意識して鍛えなければ強くならないとか。上体起こしが腹筋力アップには有効ですが、両手を頭の後ろに組む従来の腹筋テストでは起き上がれない子が多いそう。ある保育園では、年少だと90%、年中でも3分の1程度は起き上がれなかったとか。さまざまな運動を繰り返し行うことで、翌年にはほぼ全員ができるようになったという事例もあるそうです。
「腹筋の運動は続けることが大切。筋力がつくことで運動能力も向上します。正しく健康な姿勢の子どもが増えてほしいですね」と話します。
〝運動器保健調査票の調査項目〟を活用
学校での〝運動器保健調査票の調査項目〟を参考に、家庭でも子どもの状態を定期的にチェックしましょう
- 真っすぐ立った後ろ姿に、明らかな左右差がありますか
- 前屈したとき、後ろから見て肩や背中の高さに左右差がありますか
- 前屈したとき、指先が足首の高さまで届きますか
腹筋力アップの方法
- ❶まずは膝を曲げて、頭の後ろで手を組む上体起こしができるか確認
- ❷①ができない場合は、腕を胸の前で交差させる上体起こしができるか確認
- ❸①も②もできない場合は、寝た状態でおなかを見る訓練から始めましょう
- ❹②ができるなら、毎日20回前後を1セットとしてチャレンジ
- ❺④が何セットもできるようになったら、①にチャレンジ。20回以上できるようになったらOK