起きようとしない男 その他の短篇
1枚で印象を左右するアウター。今年チェックしておきたい3アイテム別に、ふくよかさんやほっそりさんがよりすてきに見えるような着こなし方を、京都市立芸術大学デザイン科教授 滝口洋子さんに教えてもらいました。イラスト/竹田明日香 紙面協力/京都リビング新聞社
メリハリを意識して安心感ある長め丈を
ラフな雰囲気で、上品に着こなせるノーカラー(襟なし)ジャケット。
「コートの下に着たり、カーディガン感覚ですっきりと着こなせるのが魅力」と滝口さん。
「ふくよかさんは、ゆったりとしたスタイルと相性が良いので、ジャケットは多少オーバーサイズでも良いですね。ただし、着こなすにはメリハリが大事。ジャケットの身ごろにパネルライン(袖の付け根からカーブを描いて裾まで伸びる切り替え線)または側面にダーツのあるものや、ポケット、ベルトでウエストを意識させるデザインのものを選んで。
ミセス世代は、長めの丈の方が安心感がありますが、長すぎると足が短く見えるので、ヒップの少し上くらいを目安にしてください」
袖や裾のデザインでシンプルすぎないように
ほっそりさんのポイントは、シンプルなコーディネートにしすぎないことだそう。
「Vネックのノーカラージャケットは細さが強調されるので、首元が寂しくならないようにしてください。ネックレスなどの小物でアレンジしたり、インナーにハイネックやオフタートルを使うなど工夫して。
袖口などにフリルが付いていると、動きや遊びが出てシンプルに見えません。
特に小柄な方は、裾にデザインやアレンジが付いているようなタイプも良いですね。かわいらしく着たいときには、丸襟もおすすめです」
もこもこして見えないステッチなしを
暖かな半面、ボリュームもあるダウンコートはどう着こなしましょう。
「ふくよかな方が今年選ぶなら、もこもこしない薄手のタイプで、ステッチがないもの、もしくは少なめのものを。
防寒を考えると、ヒップの隠れるミドル丈かロング丈がおすすめ。いずれも側面を意識させるポケット、切り替え線などがあれば、きれいめな印象になります。
また、襟元にファー付きのものなら縦長ラインを強調できます。インナーはストレートタイプのワンピースなど、できるだけすっきりと」
ミドル丈を選んであえて細めのスタイルに
ほっそりさんも、今年はボリュームを抑えたダウンで魅力アップ。
「丈は、ほっそりさんならではのアクティブさを表現できて、どんなインナーにも合うミドル丈が良いと思います。
さらに、アーガイル(菱形)のようなデザイン性のあるステッチのものは、上品さを演出します。
ファー付きの襟でボリュームを持たせて細身をカバーするのもいいですが、あえてファーなしを選んでAラインを強調すると、もう一つのほっそりさんの魅力〝かれんさ〟を出せると思います」
ゆったりとしたシルエットがおおらかな印象に
「ロングコートも、ふくよかさんはゆったりとしたタイプを着ることで、おおらかで優しい印象を出せます。ですが、こちらもメリハリを出すために、ウエスト位置がイメージできるようなデザインのものがおすすめです」
秋冬に増えるチェック柄を選ぶとしたら。
「20、30代なら細かくてカラフルな柄、40、50代ならクラシックな柄がおすすめです。中でも、大柄のグレンチェックなど、綺麗めな感じが似合うのではないでしょうか」
遊びのあるデザインでロングでも軽やかに
「スーパーロングコートは、清潔できっちりとしたイメージを与えます。ほっそりさんが着るなら、袖のふくらみなど遊びのあるデザインを選んでシルエットに動きを出しましょう。
オーバーサイズだと〝着られている感〟が出るので、ウエストに切り替えのあるようなXラインを意識して選んで。全体のどこかにタイトな部分をつくると良いですよ。
ロングスカートやデニムとも相性が良く、一枚羽織るだけで様になります。短めのボトムのときは、ヒールのあるロングブーツなどでコートの丈とバランスをとって」
- 教えてくれたのは
- 京都市立芸術大学 デザイン科教授
- 滝口洋子さん
どんな服を着るかの前に、姿勢を良くすることが一番大切。老け感がなくなって、すてきに見えますから。
まずは頭を上げることを意識して。立っているなら足で床を、座っているならお尻で椅子を押すように。腰を反るのではなく、イメージするなら羽根を広げて尻尾を下ろす格好に。空気をいっぱい吸い込んで胸を開いた状態にするのも良いですね。
人の内面と衣服をつなぐのがファッション。着こなしやふるまいがさまざまに影響し合って魅力的になるのだと思います。