フォレオ大津一里山で
「家のことは自分がやらなければ」「人に頼むより自分でやったほうが早い」。そんなふうに考えて家事や仕事を一人で抱え込んでいると、ストレスがたまって体調を崩してしまうことも。読者のアンケートをもとに、専門家とその解決法を探ってみました。
※リビング読者にアンケート。有効回答数642。本文( )内は読者のイニシャル
イラスト/オカモトチアキ 記事提供/京都リビング新聞社
要因は、周りの人とのコミュニケーションの少なさにも
「家事や仕事を一人で抱え込んでしまったことがありますか?」という読者アンケートに「はい」と答えた人の理由で多かったのが、「頼める人がいない」「相手も忙しいから」。中には「自分が我慢すれば」という人も。
もしかすると、頼んでみたら助けてくれるかもしれない家族や職場仲間がいるのに、頼むことができないだけという人もいるのでは。
花園大学社会福祉学部・臨床心理学科准教授の妹尾香織さんに聞きました。そもそも、どうして一人で抱え込んでしまうのでしょうか。
「要因はいくつかありますが、他者との関係性でいうと二つあります。
一つはコミュニケーションが少ないこと。特に人に頼みにくい、自分でやってしまうという人に見られます。普段から、ご近所の人にあいさつをしておく、雑談で自分のことを話しておくなどすることで、困ったときに助けてくれるかもしれません。
二つ目は、弱い人間と思われたくないという気持ち。他者から手助けを受けるということは、自尊心を脅かされるということにもつながります。助けられることで弱い立場に置かれてしまうと思ったり、こちらも助けなければと思い、頼ることをためらったりしてしまうようです」
自分に厳しく努力家の人は、抱え込みやすい傾向に
「〝私〟や〝自己〟の中にも要因はあります」と妹尾さん。
「理想が高くて自分に厳しく努力家で、何事もうまくやりたいと思っている人は、抱え込んでしまいやすいようです。
〝専業主婦とはこうあるべき〟や、〝主婦ならやって当然〟といった、自分の頭で作り出した理想の姿に縛られている可能性があります。例えば、完璧にできたと思う料理をSNSにアップしたとします。ほかに自分よりもっとすごい料理をアップしている人がいると分かると、〝あるべき姿〟に到達していない自分に対し、『まだまだだめだ』と落ち込んだり、厳しく責めてしまったり。さらに、『頑張っているのに認められない』と不安になり、他者に対して怒りの感情が湧いてしまうことも。ストレスを抱えてしまう人もいます。
そうなる前に見方を変え、周りに助けを求めるなど、もっと自分をいたわってあげることが大切です。〝私がやるべきこと〟の中の一つでも手放すことで、随分と気が楽になりますよ」
読者の三つのケースに対して、それぞれに具体的なアドバイスをもらいました。
- 教えてくれたのは
- 花園大学 社会福祉学部 臨床心理学科 准教授
妹尾香織さん - 「抱え込んでしまっている人は、今の気持ちに正直になり、もっと自分をいたわってあげてください。そうすることで、気持ちに余裕が生まれますよ」
「抱え込んでしまっている人は、今の気持ちに正直になり、もっと自分をいたわってあげてください。そうすることで、気持ちに余裕が生まれますよ」