“風情”をたしなむ一日に。9月9日 重陽の節句は菊づくし
家族が他府県などに離れて暮らしていると、介護時の心配ごとも多いですよね。事前に備えておきたいことなどを専門家に聞きました。
イラスト/オカモトチアキ 記事協力/京都リビング新聞社
〝遠距離介護〟のほか さまざまな選択肢が
1人暮らしの高齢者や高齢夫婦世帯が増えている昨今。いざというとき、どこでどう介護するか悩む人も多いのでは。
「選択肢としてよく挙がるのは、子が実家に戻る〝Uターン〟や、親に子の家または近くに住んでもらう〝呼び寄せ〟です。しかし、そうしたくても、家庭や仕事の都合で同居が難しい場合も。そんなときは〝遠距離介護〟も検討してみては」
そう教えてくれたのは、京都府地域包括・在宅介護支援センター協議会の川北雄一郎さん。
「親は介護サービスを活用しながら住み慣れた家で過ごすことができ、子は定期的に帰省して親の生活をサポートします。
子が転職したり、お互いに転居したりなどせずにすむ一方で、緊急時にすぐ駆けつけられない点には注意を。距離や通う頻度にもよりますが、交通費や移動時間、通信費など、直接的な介護以外の負担があることも考慮しておきたいですね」
ちょうどよい〝距離感〟を探して
「親の判断能力や身体能力が衰えて常に介助が必要になると、通いの頻度が増え、遠距離介護の負担も増えていきます。途中で同居や施設介護に切り替えることもできるので、親の健康状態を踏まえて、都度、介護の方向性を家族で話し合いましょう」と川北さん。
「最初から同居や施設介護を選ぶ人もいますが、大切なのは、その方法が家族にとって精神的・物理的にちょうどよい〝距離感〟かどうかだと思います。
どんなに親子関係が良好でも、介護が始まって環境が変わったらストレスゼロというわけにはいきません。家族の関係やライフスタイルは多様化しているので『介護はこうあるべき』という固定観念にとらわれないようにしたいですね。介護に正解はありませんから、当事者である自分たちの思いを大切にしてください」
下記に、選択肢となる介護方法の特徴をまとめました。
\ 選択肢は大きく分けて三つ /
●遠距離介護
親、子がそれぞれの生活を維持したまま介護を行います。適度に距離を置くことで双方のストレス緩和にも。緊急時の対応が難しいため、周囲と協力体制を築くことがポイントです。交通費、通信費などの負担もあります。
●呼び寄せ/Uターン
親または子が引っ越し、同居・近居で介護を行います。そばでサポートできますが、仕事や人間関係、生活習慣といった変化が大きく、改めて環境を整える必要があります。
●施設介護
親または子が住む地域の施設で介護を行います。主な介護をプロに任せることができますが、金銭面や入所までの待機期間の対策が課題に。
- 〈 教えてくれたのは 〉
- 京都府地域包括・
在宅介護支援センター協議会
会長 川北 雄一郎さん