守山市立図書館「本の森」リニューアルオープン!
2018年11月3日号の巻頭特集「滋賀であなたも五七五」で「家族」をテーマにした俳句を募集したところ、127句の応募がありました。
今回はその中から優秀作を紹介。男性俳人2人と、俳句は専門外ながら、それぞれ作詞、記事執筆という形で言葉と関わる女性2人が選者となり、心に響いた句を選びました。
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菊の綿は菊の被綿(きせわた)とも。菊の花に綿を被せてその露と香をうつしとり、重陽の節句にその綿で身をぬぐうと長寿が保てるというもの。祖母の長寿を願っている。さかりの菊の見事な咲きぶりに祖母のりりしい容姿が想像される。
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よちよち歩きの小さな子の姿で始まった句が「春うごく」というスケールの大きな表現で結ばれるところが面白い。また、特に具体的な描写はないのに、木々の芽吹きや外に出たくなる暖かな空気といった春の情景が次々と浮かんでくる点も見事です。
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久しぶりに帰ってくる子と、迎え支度をする親、そして、温かいうちに食べて欲しいおでん鍋(おでん鍋側の気持ちです笑)。それぞれのそわそわ具合から年越しを一家で過ごそうという様子が伝わってきます。早くおでん鍋を食べて一安心して欲しいです!
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月を見上げるお母さまは「きれいやねぇ」と声に出しているのか、それとも、ただうっとりと見入っているのか―。いずれにしても、手にしたつえのことを忘れ、夢中になっているその横顔は、いきいきと美しかったのでしょうね。
中田剛さん選
中田剛(なかた・ごう)さん
俳誌「白茅(はくぼう)」代表。滋賀リビングカルチャー倶楽部 草津駅前教室で開講中の「俳句を詠もう」も好評です。
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「どっときてすこやか」に、かわいくて仕方のない孫への愛情があふれている。ときにうるさくもありながら、にぎやかで楽し。蟬時雨自体を対象とした句ではないが、実際の蟬時雨の状況もじゅうぶん想像させる。
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サラリーマンや学生がいる家の朝はあわただしい。寝起きが悪くて不機嫌なこともあったりして、ときにはちょっとしたいざこざも。鴨の家族の様子に人間の家族の様子を重ねて想像するとおもしろい。
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芋飯を頬張るとき、母の炊いた芋飯を囲んでの家族のにぎやかな夕食どきの光景が否応なく思いおこされる。家族のためにはつらつと立ち働いていた往時の母をしみじみと懐かしむ。
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「忘れずに咲く」からすると母が大事にそだてていた秋明菊かもしれない。その時季がくると母にゆかりの秋明菊が律儀に花をつけ、おのずと母の面影がよぎる。ちなみに秋明菊はアネモネの仲間という。かわいらしい花だ。
中井汰浪さん選
中井汰浪(たろう)さん
堅田市「浪乃音酒造」十代目蔵元。結婚を機に俳句に親しみ、ホトトギス派の同人として26年目を迎える。句会「俳句と浪乃音を楽しむ会」を4つの会場で展開。汰浪は俳号。
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うららかな春の光に包まれながら、喃語(なんご)を発する赤ちゃん。ほのぼのとした光景ですね。春の光と話すことができるのは、無垢(むく)な嬰児だけ。美しい句だと思います。
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4人の子がいる私は、この句からめでたさと寂しさの入り混じった父親の心情を思い浮かべました。すでに別の娘(たち)を送り出した、さらにその後といった〝時の経過〟を感じさせる「末娘」という言葉が効いています。
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夏休み、子どもたち一人一人の好物を張り切って準備する光景が浮かびます。今は独立して離れ離れになった子らと一緒に過ごせる日を待ちわびる親心を感じさせますね。
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新酒の時季、私の蔵でも粕汁の振る舞いをしますが、粕汁は大きな鍋で作るほうがおいしい。その性質がうまく生きた句だと思います。上五でスパッと切れ、その後昔に思いをはせる言葉が続く。昔と今の対比が効果的に示されています。
伊谷亜子さん選
伊谷亜子さん
コスプレギターアーティスト。作詞作曲を手がけた「滋賀のうた(1〜22番)」は、現在CD発売中。えふえむ草津「イブロケ785」ほか、テレビ・ラジオ出演も多数。
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にぎやかで楽しそうだなと思わずニヤリ。「うちには無いけどおばあちゃん家にはある」こたつにウキウキする孫たち。いつもより入っている人が多いこたつでは寝てる人の足を蹴飛ばしてしまったこともあったなと私の思い出もよみがえりました。
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おまんじゅうは夫婦で行った旅行のお土産。最後の一つを何も言わずに半分に割って「はい」と手渡す関係性を想像しました。旦那さんは甘いものが苦手で、食べたのはその半分だけ、他は全部奥さんが食べてしまったかも。食べ過ぎは注意ですよ…なんて(笑)。
リビング滋賀編集部選
「生活者としての実感のこもった記事を」と思いながら日々取材をしていますが、応募されてきた句は、いずれもそうした実感が鮮やかで、俳句の奥深き世界にワクワクしました!
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元気な孫との楽しい真剣勝負! 「ふっふっふ」は笑い声? でも、「孫と競いて」とあるからマラソンでもしているの…?と思いきや、実は綿毛(おそらくタンポポの)を吹いている場面だと判明。この〝最後まで読ませる演出〟も面白いと思いました。
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「待ってました!」と歓声が上がる、鍋料理の締めの雑炊。すでにおなか一杯楽しんだ後なので、みんなの顔はほかほか、つやつや。そんな幸福感がまっすぐ届き、読み終えた後、おなかがすきました。
再び句を募集します!
テーマは「琵琶湖」
再度、投句を募集します。すてきな作品は「リビング滋賀」紙上&ホームページで掲載予定です。
- 応募方法
- はがきまたはメールに
①名前(ペンネーム・俳号での掲載を希望する人はそちらも併記) ②年齢 ③〒住所 ④電話番号を記入の上、何句でも自由に投句を。
ただし、未発表の句に限ります。 - あて先
- 〒520-0047
大津市浜大津4-1-1 明日都浜大津2階
滋賀リビング新聞社編集部「俳句」係
メール:shiga_hensyu@shigaliving.co.jp
応募締め切り 5月7日(火)