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10月から消費税が10%に―。税率アップとともに話題に上るのが、「軽減税率」「経過措置」「価格表示」「ポイント還元」といった耳慣れない言葉の数々…。とまどいを感じている人もいるのでは。こうした、直前の今こそおさえておきたいトピックスについて紹介します。※記事の内容は8月29日現在の情報をもとに作成 イラスト/オカモトチアキほか
〝軽減税率8%〟の実施対象も
1989年に施行された消費税法。当初3%だった税率は、5%、8%と引き上げられ、ついに10月からは10%に。
「『消費税』とは、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して課される税金です」と話すのは、上京税務署の税務広報広聴官・川崎洋一さん。
「消費税の税率アップは、高齢化社会における社会保障の財源を確保するため。現役で働く世代など特定の人にだけ負担を集中させず、高齢者も含めた国民全体で負担するのがふさわしいとの考えに基づいています」
注目は、初めて導入される「軽減税率制度」。所得の低い人たちの負担に配慮し、特定の商品の購入時には〝標準税率10%〟ではなく、〝軽減税率8%〟を適用するというものです。
8%になる商品は、大きく分けて「酒類・外食を除く飲食料品」「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」の二つ。
例えば、コンビニエンスストアで購入する弁当は、店内のイートインコーナーで食べると〝10%〟、持ち帰って自宅などで食べれば〝8%〟。同じ商品でも税率が異なるケースが発生するとあって、ちょっとややこしいですね。下記にまとめた事例をチェックしてみて。
飲食料品
酒類・外食を除き、対象となる飲食料品は8%。飲食設備のある場所で飲み物や食品を提供する「ケータリング」や「外食」、酒税法に規定される「酒類」は10%。
- テークアウト・宅配
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テークアウトは8%。宅配や出前も飲食料品をお客さんの指定した場所に届けるだけなので、軽減税率の適用対象となり8%。
- ノンアルコールドリンク
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ノンアルコールビールやノンアルコールドリンク、甘酒など、酒税法に規定される酒類に該当しない飲料は8%。
- おもちゃ付きのお菓子
- おもちゃ付きのお菓子や、おまけが付いている飲食料品などは、1万円以下(税別)の商品で、その価格の3分の2以上が食品にあたるなら8%。
- イートイン
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スーパーマーケットやハンバーガーショップ、たこ焼き店など、店内・店頭のカウンターやテーブル、いすなどの飲食設備がある場所で、買った商品を飲食する場合は10%。
- 酒・みりん
- 酒税法の酒類にあたる「酒」「ビール」「料理酒」「みりん」などは10%。ただし、アルコールが1度未満の「みりん風調味料」などは酒税法の対象にならないため8%。
新聞
週2回以上発行の新聞を定期購読している場合は8%。一方、同じ新聞でもコンビニエンスストアや駅の売店などで購入する場合は軽減税率の対象外で10%。
- 上京税務署 税務広報広聴官
- 川崎洋一さん
「事業者も早めの準備が必要です。税務署では、事業者向けの軽減税率に関する説明会を実施(日程は国税庁ホームページ『消費税の軽減税率制度について』参照)。少し先になりますが、自宅でも利用できる国税電子申告納税システム『e-tax』で申告・納付をスムーズに進めてください」
- 消費税軽減税率についての問い合わせ先
- ●消費税軽減税率電話相談センター(軽減コールセンター)
- ・フリーダイヤル=0120(205)553(無料)
- ・ナビダイヤル=0570(030)456(通話料金がかかります)
- 【受付時間】午前9時~午後5時(土日祝除く)
※2019年9月・10月は土曜日も受け付け
増税前に買ったチケットは有効?
注目は経過措置
封切りが楽しみな映画。増税前に前売り券を買ったけれど、実際に見に行けるのは10月以降…。増税分の料金を負担しなくても、そのまま前売り券を使えるのでしょうか。
そんなときに関わってくるのが「経過措置」。消費税率の変更による事業者や消費者の混乱を防ぐために設けられます。
先ほどの映画の前売り券は増税後に観賞することになりますが、そのまま利用OK。このように税法上の猶予期間を設定したのが「経過措置」です。
経過措置の対象は、「10月以降は新税率」という原則を適用することが明らかに難しい取引のみ。今回は、大きく10種類の取引に対して経過措置が取られます(下表参照)。なお、契約(購入)時期や提供を受ける時期についてはそれぞれに規定あり。
◇ ◇ ◇
消費税率などに関する経過措置や税についての一般的な問い合わせは、最寄りの税務署へ。
- 水道料金などの公共料金
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2019年10月1日より前から継続して供給されている電気・ガス・水道・灯油、電気通信などが対象で、2019年10月31日までの間に検針・料金の支払いが確定する分は、税率8%。
- 定期券、チケット
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旅客運賃をはじめ、映画館や劇場、競馬場、美術館、遊園地などの入場券は、2019年9月30日までに支払ったものは8%の対象。差額は支払わなくてOKです。
- 冠婚葬祭施設のサービス
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2013年10月1日から2019年4月1日の前日までに契約したものは、8%の対象。
- 旅客運賃、映画・演劇・競馬場・競輪場・美術館・遊園地などへの入場料金など
- 電気・ガス・水道・電話・灯油に関わる料金など
- 工事や製造、ソフトウェアなどの請負契約
- 資産の貸し付け
- 冠婚葬祭のための施設やサービスの提供
- 予約販売に関わる書籍など
- 特定の新聞購読
- 通信販売による取引
- 有料老人ホームに関する介護サービスの提供
- 家電リサイクルの再商品化に関する取引
※このほかにも、「リース譲渡に係る資産の譲渡などの時期の特例」を受ける場合の経過措置などが設けられています
9カ月間限定で、購買金額の5%・2%分をポイント還元
最近話題のキャッシュレス。うまく活用すれば、増税の負担が軽くなるかもしれません。
10月から2020年6月までの9カ月間限定で実施されるのが、「キャッシュレス・消費者還元事業」、いわゆる「ポイント還元制度」です。この制度に登録された中小・小規模店舗(※2)などを利用する際に、同じく制度に登録されたカードなどを使ってキャッシュレス決済をすると、購買金額の5%がポイントで還元。フランチャイズのチェーン店の場合は、2%が還元されます。
対象となるキャッシュレス決済は、制度に登録されたクレジットカード、デビットカード、交通系電子マネー、スマートフォンの2次元コード読み取りなど。ポイントは、それぞれの規定に沿った換算方法で付与。そのカードなどが使える店やサービスで利用できます。
「9カ月とはいえ、上手に活用すればかなりの恩恵が期待できると思います」とは、ファイナンシャルプランナーの常住良樹さん。
「例えば、地元のスーパーマーケットや商店、飲食店、旅館なら5%、フランチャイズのコンビニでも2%が還元されます。つまり、増税分の2%は相殺されることになりますね」
登録店舗には、ポイント還元制度のロゴマークが入ったポスターなどが掲示されるとか。目印にしてみては。
(※2)中小・小規模店舗とは、原則として中小企業基本法上の中小企業でサービス業や小売店、製造業、卸売業など
基本は総額表示、税別表示などは2021年3月まで
商品の値札やチラシに書かれている値段を見ると、税額が書き添えられていたり、「(税別)」や「(税込み)」と書き添えられていたり。
本来、価格表示には、本体価格に消費税分を足した「総額表示」が義務付けられています。にもかかわらず前述のような表示が多いのは、2013年施行の特別措置法で「誤認防止措置」(※1)を講じれば税抜き価格のみの表示を行うことが認められているから。
これは、値札の張り替えなどの事務負担を配慮した措置だそう。期限は2021年3月31日(水)までです。
(※1)消費者が商品を選ぶときに、その価格が税抜きか、税込みかはっきりと分かるようにすること
増税までの1カ月間で情報収集を
消費税アップまで、約1カ月。それまでどんなことに気を付ければいいのでしょうか。ファイナンシャルプランナー・常住さんに聞きました。
「消費税が8%に引き上げられたときは、駆け込み需要の反動で増税後は買い控えが起こり、その影響で景気が低迷。この反省を踏まえ、今回、国はさまざまな政策を講じています。
『住宅ローン減税』は控除期間が拡充、『すまい給付金』は給付額が最大50万円になる上に対象者も拡大。『住宅取得などのための資金に係る贈与』の特例として、非課税枠は最大3000万円に。そのほか、3~5歳の全ての子どもたちの『幼児教育・保育の無償化』、低所得者層や、2016年4月2日から2019年9月30日までに生まれた子どもがいる世帯のための『プレミアム付商品券』など、多岐にわたります。
消費税の引き上げにより、確実に物価は上昇します。すでに購入予定の物なら増税前に買いたくなりますが、2%以上のメリットがあるのか、よく考えてみてください。
大切なのは情報の収集です。ポイント還元制度の登録店舗はどこなのか、自分が普段購入している商品は軽減税率の対象になっているのか、増税の前後にセールが展開されるかなど、日常生活をもとにシミュレーションを重ね、支払い額だけに振り回されないように心がけましょう」
- ファイナンシャルプランナー
- 常住良樹さん
「キャッシュレス決済でポイントをためるのが好き。目標は、ためたポイントで家族で海外旅行に行くことです。家計のやりくりに楽しみを見つけてみてください」