吉笑庵・タテベコーヒーロースターズ
ビタミンカラーで料理を引き立てるパプリカ。その色合いはもちろん、甘みやジューシーな食感を存分に生かしたレシピをプロが教えてくれました。制作協力/京都リビング新聞社
撮影/二階堂直敬、鈴木誠一(スイーツ)
新鮮・ジューシー!
滋賀産パプリカ
スーパーで見かけるパプリカのほとんどは外国産。「日本での栽培は、温度管理(10℃〜35℃)に手間がかかる、土壌から病気をもらいやすいなど難しいことが多いです。また開花から収穫まで60日もかかり、商業ベースに乗せにくいのも一因かも」と、近江八幡でパプリカを生産するあかね農園の上田真理子さん。
5月初旬の取材時は約40cmに育った木に白い花が咲いていました。摘花や枝打ちなどを行い、7月初旬に収穫予定。収穫後は24時間以内に店頭に。樹上で甘みが増した完熟を新鮮なうちに食べられるのが地元産の醍醐味(だいごみ)です。「肉厚でジューシー。ぜひ最初は何もつけずに食べてみてください」
赤・黄色・オレンジの3色、6種類のパプリカを出荷。形や皮の厚み、風味なども微妙に違うそう
- ここで買えます
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きてかーな
安土ええもん屋(平和堂フレンドマート安土店内)
平和堂フレンドマート 五個荘店
平和堂フレンドマート 八幡上田店
マックスバリュ東近江店
野菜のうま味たっぷり
パプリカのカラフルフリット
揚げることでジューシーさが際立つパプリカ。色とりどりの野菜を詰めたフリットは、八百屋さん兼食堂ならではのアイデアです。肉詰めとは違うみずみずしい味わいを楽しんで。
- 詰める野菜は彩りと旬を考えて変更もOK。揚げるときはまず切り口が上になるように入れ、途中で返せばはがれにくいですよ
材料 [4人分]
- パプリカ(小さめ)…赤・黄各2個
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(A)
- ナス…1/2本
- ズッキーニ(緑・黄)…各1/3本
- マッシュルーム…4個
- ベーコン…40g
- 塩、こしょう…適量
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(揚げ衣)
- 小麦粉…150g
- 片栗粉…20g
- 炭酸水…300g
- 揚げ油…適量
- トマトソース、塩、レモン汁など
<トマトソースの材料>
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(B)
- トマトピューレ(トマト缶でも可)…300g
- ウスターソース・みそ・塩こうじ(塩でも可。その場合は5g)・甘酒(砂糖でも可)…各10g
- タマネギ…小1個
- ニンニク…みじん切り1かけ分
- オリーブオイル…適量
[作り方]
- パプリカは縦半分に切り、内側に薄く小麦粉(分量外)を振る
- (A)はそれぞれ約5mm幅の半月切りなどにし、①に層になるように詰めて塩・こしょうを振る
- 小麦粉と片栗粉を合わせ、炭酸水を混ぜて揚げ衣を作る
- ②に薄く小麦粉(分量外)を振る。③をつけて165~170℃に熱した揚げ油で5~6分じっくり揚げ、縦半分にカットして盛る。季節の野菜を付け合わせに揚げても
- 好みで塩、レモン汁などをかけていただく(写真はトマトソースを敷いています。)
<トマトソースの作り方>
- フライパンにオリーブオイルとニンニクをいれ、弱火で香りが立ったらタマネギのスライスを入れ炒める
- タマネギがしんなりしたら(B)を入れて煮込む
フレンチの定番
ふわとろパプリカムース
口に入れるとふんわりとろり。色鮮やかなパプリカのムースはフレンチの定番。丁寧に炒めてから煮詰め、ピューレ状にすることでうま味が凝縮されます。
- かんきつ系のゼリーを多めにのせると清涼感があってより食べやすいですよ。ホタテ貝柱の湯引きやウニをトッピングしても
材料 [4人分]
- パプリカ…赤2個(細切り)
- タマネギ…1個(細切り)
- 固形コンソメ…1/2個
- 生クリーム…130ml
- 板ゼラチン…7~8g
- 塩…適量
- サラダ油…適量
- トマト、グレープフルーツゼリー(市販)、バジル、オリーブオイル…適量
[作り方]
- フライパンにサラダ油を引き、タマネギ・パプリカの順で入れて、タマネギが透明になるまでじっくりと炒める
- ①の具材に対して水をひたひたに注ぐ。コンソメを入れて強火にかけ、沸騰したらアクを取る
- 弱火にしてふたをし、全体量が3分の1程度になるまで10~15分煮込む
- 水で戻した板ゼラチンを入れて溶かし混ぜ、粗熱を取る
- ④をミキサーでなめらかになるまでかくはんする。塩で味を調えたら冷蔵庫で約2~3時間冷やす
- 八分立てにした生クリームと⑤を空気を入れ込むように混ぜる
- 器に入れ、好みで角切りのトマトやグレープフルーツゼリー、バジルなどを飾り、オリーブオイルをかける
甘さにびっくり
焼きパプリカのマリネ
じっくり焼いて皮を取ることで生まれる、とろりとした食感と驚きの甘さ! 料理にパプリカをよく用いるヨーロッパではポピュラーな調理法だそうです。
- パプリカの野菜汁がマリネ液のベースになるので、捨てないように注意を。マリネを刻んでバゲットなどにのせてもおいしいですよ
材料 [4人分]
- パプリカ…赤・黄各2個
- 塩…小さじ1/2
- 酢…大さじ1
- イタリアンパセリ、エディブルフラワー…適量
[作り方]
- パプリカはオーブン(190℃)で約40分焼く。途中、2~3度パプリカを回して全体が均等に焼けるようにする
- パプリカをざるに取り出し粗熱を取る
- ボウルにざるを重ね、その上で②を縦に四つに割いて種とわたを除き、皮を丁寧にめくる。パプリカから出る野菜汁はボウルに残しておく
- パプリカを容器に入れ、その上から③の野菜汁と塩・酢をかけて全体を混ぜる。冷蔵庫で少し冷やすとベター
- 好みでイタリアンパセリやエディブルフラワーを飾る
デザートに変身!
パプリカのベイクドチーズケーキ
野菜スイーツも手掛けるパティシエ考案の、ほんのりオレンジ色のチーズケーキ。パプリカが2個分も入っていて、豊富な栄養をデザートでいただけます。
- オレンジでさわやかさを加え、②の湯通しを行うことでえぐみが取れます。ケーキ型がなければグラタン皿などを使ってもOK
教えてくれたのは
Crème de la Crème
京都本店
中京区東洞院通三条上ル曇華院前町449 CASA LOTUS 1階
樋口 忠史 さん
材料 [15cmのケーキ型1台分]
- パプリカ…赤・黄各1個(へた、種、わたを除いて約100g分)
- オレンジ…1/4個(皮付き約40g)
- グラニュー糖…約70g
- 生クリーム(植物性ホイップも可)…60g
- クラッカー(クッキーなどでも可)…50g
- クリームチーズ…200g
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(A)
- グラニュー糖…60g
- 卵(溶いたもの)…2個(約110g)
- 薄力粉…20g
- ヨーグルト…50g
- レモン汁…1/2個分
- 粉糖…適量
[作り方]
- パプリカは飾り用に約5mmの輪切りをそれぞれ3枚ほど、残りは種、わたを取って縦に切り分ける。オレンジは皮ごと薄切りにする
- ①を全て鍋に入れて水を加え、沸騰したらざるに取る。これをもう一度行う
- ②を鍋にもどし、グラニュー糖を加えて出てきた水分で軟らかくなるまで煮込む
- ③から飾り用のパプリカを除いてミキサーに入れ、生クリームを加えてペースト状にする
- クラッカーを細かく砕き、(A)の卵から20gを取り、混ぜ合わせる。クッキングシートを敷いたケーキ型に敷き詰める
- 軟らかくしたクリームチーズに(A)を順に混ぜ合わせる。ダマが多いようならこし器などでこし、④を加えて混ぜ合わせる
- ⑤に⑥を注ぎ入れ、予熱したオーブン(170℃)で50~60分焼く(20分たったところで飾り用のパプリカをのせる)
- 皿に取り出し、冷めたら粉糖を振る
パプリカをもっと食べたくなる
マメ知識を紹介。
- ルーツはハンガリー
- パプリカ(paprika)は実はハンガリー語。南米から入ってきた唐辛子がハンガリーで品種改良され誕生したそう。パプリカ粉を使ったスープ「グヤーシュ」は代表的な家庭料理。
- ビタミンCやβカロテンが豊富
- ビタミンCはピーマンの2倍以上。加熱してもほとんど損失はありません。βカロテンはピーマンの2.75倍も(赤パプリカの場合)。油で調理するとより吸収されやすくなります。
- 赤・黄だけじゃない
- さまざまに品種改良が行われ、オレンジ、紫、白のほか、茶色や黒いパプリカも! いずれにしても、選ぶときは色むらがなくハリつやのあるものを。
〈参考〉農林水産省ホームページ、日本食品標準成分表2020年版