夏バテ防止にも ネバネバ野菜を食べよう
春の果物といえばイチゴ!という人も多いのでは。滋賀のイチゴ農家に、栽培への思いやおいしい食べ方などを教えてもらいましたよ。〝新名物〟を目指す、県内初ブランドなど、今話題の滋賀のイチゴ情報もチェック!
イラスト/まちょ
そのままで、スイーツで、朝採りを満喫。
自分好みの品種を見つける楽しさも
夏吉ゆり子さんが代表を務める「河西いちご園」は、2002年に夏吉さんの父が守山市川田町で開業。少量土壌培地耕(*)を滋賀で先駆的に始めた農園の一つだそう。現在の場所に移転後も試行錯誤を重ね、土や水、空気、温度などを整えた環境でイチゴづくりに取り組んでいます。
店頭に並ぶのは朝収穫したイチゴのみ。木の上でギリギリまで栄養を与えて完熟したイチゴは味も濃く、おいしくなるのだとか。
「時期によって特徴があり、12〜3月ごろ採れる冬イチゴは高糖度で果肉がかためなのに対し、4〜5月ごろの春イチゴはみずみずしくて果肉も少しやわらかくなりますが、たくさん採れます。ジャム用のイチゴが登場するのもこの時期です」と夏吉さん。
毎年品種や作付けなどを見直し、今年は8種類をラインアップ。品種はもちろん、季節や食べる人の体調によっても好みが変わるので、食べ比べるのも楽しそう。
直売所内にはカフェもあり、タルトやパフェ、シフォンケーキなど、イチゴスイーツがずらり。どれも完熟のイチゴが惜しみなく使われていて、季節を通じて気軽にイチゴを満喫できそうです。
河西いちご園
守山市立田町4380、TEL:070(6542)1115
http://kawanishi-farm.com
*少量土壌培地耕…少量の土壌を培地として用いる養液栽培技術のこと。滋賀県で開発されました
農家に聞く!イチゴ豆知識
- 「イチゴは先の方が甘いですよ」
- 「イチゴは追熟しないので、すぐ食べていただくのがおすすめです」
収穫して食べるワクワク感も。
スマート技術と人の手で育む〝幸せ〟のイチゴ
園名の「フェリーチェ」とは、イタリア語で〝幸せ〟という意味。「イチゴをおなかいっぱい食べて、〝幸せ〟な気持ちになってもらいたい」という思いが込められています。
代表は、レタスなどをつくる専業農家の3代目・南出卓哉さん。「冬場は子連れで遊びに行くところがない」という妻の言葉をきっかけに、イチゴ狩りができる農園を始めたそう。
約5万5000株が植えられたハウスでは、光合成がしっかりできるように水や温度、CO2、肥料などを自動管理するスマート技術を採用。「一方、摘果や葉の摘み取り、収穫、パック詰めなどは人の手で丁寧に行っています。土壌に乳酸菌を加えるなど、甘いイチゴをつくるための研究は欠かせませんね」と南出さん。
イチゴ狩りは収穫箇所や時間を区切り、人数制限をしながら実施。「日本人って農耕民族だからか、収穫をして食べることに喜びや興奮を感じるのでは。イチゴ狩りは気軽に思い出を作れるし、もったいない食べ方をしないなど 〝食育〟にもつながると思いますよ」。
取材時も親子連れやカップルなどが次々と訪れ、目をキラキラさせながらイチゴを頬張っていました。
いちご園フェリーチェ
野洲市比江2269、TEL:077(589)5917
https://www.minamide-farm.com
農家に聞く!イチゴ豆知識
- 「ヘタの付け根がパカッと割れているのは、糖分を抱えきれなくなったため。甘い証拠」
- 「暑くなってくると、『紅ほっぺ』のような甘味も酸味も強い品種がおいしく感じますよ」
SHIGA STRAWBERRY NEWS
県産いちごを使った
オリジナルチューハイ
昨年11月より、スーパー「平和堂」の売り場に登場した「滋賀県産いちごのチューハイ」(350ml缶・163円、アルコール度数5%)。滋賀の果物を県外にPRすることを目的に、平和堂が独自で開発・販売している、缶入りチューハイシリーズの新作です。
きっかけは、自社が運営するファームからの「色や形、大きさなどの理由で正規品にならないイチゴをなんとかしたい」という声。JAレーク滋賀や大津南部農産普及課の声掛けで、県内の生産者7団体が協力し、規格外やコロナで出荷できなくなったものなど、約1トンのイチゴが集まりました。
県産イチゴをピューレ状にしたストレート果汁と、アルコールの比率を変えて試作を重ね、イチゴの風味を生かしつつ、お酒好きな人でも楽しめるすっきりとした味に仕上げられています。フードロスの削減や、滋賀の農家の応援にもつながるチューハイを、楽しんでみては。
※飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています
滋賀県初!
ブランドイチゴが誕生
プリッとした三角形で朱色に近い赤が特徴。「滋賀SB2号」は、滋賀県が初めて育成した県オリジナルイチゴです。
多くの都道府県にオリジナルイチゴがある中、滋賀でも独自の魅力的なイチゴをつくり、イチゴ生産を盛り上げようと県の研究機関が5年がかりで開発。甘くて収量の多い「章姫」と、香りが良く果実がしっかりしている「かおり野」を掛け合わせ、約1600個体から選抜された品種です。
3/22、名前は「みおしずく」に決定!
甘味と酸味のバランスが良く、フローラルな香りを持つほか、輸送に強く、栽培管理がしやすいなどの利点を備えているのもポイント。県では「生産者にも消費者にも愛されるイチゴになってほしい」との思いから、名前を公募。約2カ月間で7607点もの応募があったそう。今年、試験栽培が行われ、12月にはプレデビューの予定。店頭であえる日が楽しみですね。