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秋の果物の代表格といえば柿。あまり知られていませんが、実は滋賀にも柿の産地があるんです。味や食感もさまざまな「ザ・日本の秋」の魅力を、産地の人たちに聞きました。
湖西道路に車を走らせると、広い柿畑が目を引く集落が。高島市の今津町深清水地区では、現在40軒の農家が約20ヘクタールの畑で柿を栽培しています。「100年以上の歴史があるんです」とJA今津町柿部会の会長・岡本義治さんが教えてくれました。
この一帯は百瀬川の扇状地で、もとは桑畑。大正時代に岡本さんの祖父が、柿の産地・岐阜から富有柿の苗木を持ち帰り植えたのが始まりだそう。現在作られているのは約10品種。農薬、化学肥料を極力減らし、手間暇かけて育てた柿を、9月下旬から12月中旬まで順に楽しむことができます。
また、今津柿のPR活動や、栽培方法・新商品の開発にも積極的。例えば、富有柿をポリエチレン袋で個装する「冷蔵柿」や、富有柿を樹上で袋がけして大きく育てる「袋かけ富有」は長持ちするため、お正月でも新鮮な柿を楽しめそう。「昨年はこの周辺の『柿マップ』を作りました。産地で新鮮な柿を、ぜひ!」
植物性の袋に土を入れてコンパクトに育てるポット栽培。「農家の高齢化が進む昨今、世話がしやすいので、今後力を入れたい栽培方法です」(岡本さん)
岡本さんはドライアイスと焼酎を使う独自の方法で、平核無を脱渋し「さわし柿」として出荷。上品な風味が特徴
イベント用に販売した4種の柿を詰め合わせた「かきくらべ」(1000円)。パッケージは京都造形大学の学生の作
「わ、大きい!」と思わず声が上がる太秋は、その重さ約400g(一般的な柿の重さは200〜250g程度)。甘くて大きい高級柿として認知度もアップしています。
長浜市木之本の黒田地区では、2005年から休耕田を利用してこの太秋を作付け。ネーミングは、地元出身の戦国武将・黒田官兵衛(のち如水)にちなみ「黒田如水柿」に。
「地元の農家8人で組合を作って栽培しています。肥料の加減で雌花がうまく付かなかったり、獣害に遭ったりとまだ試行錯誤の連続ですが、大きくて甘みの強いものが収穫できるので、ファンも増えてきています」と黒田柿生産組合・組合長の小畑義彦さん。
おいしい太秋の見分け方を尋ねると「完熟すると果皮に〝条紋〟といって黒い横筋が入るんです。選ぶときは見かけがイマイチなものがおすすめです(笑)」。
実を大きく育てるための摘果作業。太秋は細い枝に大きな実がつくので折れやすいのだそう
【左上】黄緑がかった薄いオレンジ色。シャクシャクと梨を食べているような食感が新鮮 【右下】黒い条紋が入ってくると食べごろ
伊吹山麓に広がるのどかな柿畑。伊吹果樹組合がこの地で柿の栽培を始めて、今年で65年目になります。作られているのは主に平核無。渋柿なので、収穫した実を炭酸ガスの室に入れ、3日間渋抜きをしてから出荷します。「伊吹柿は木の上で完全に色づいてから収穫するので、普通の平核無より糖度が高いんですよ」と同組合長の瀧澤均さん。
さらに一昨年から、木の上で果実1個1個に固形アルコールを入れた袋をかけ、樹上脱渋したブランド柿「霊峰」が登場。一般的な平核無は誰でも食べやすい柔らかい食感ですが、霊峰は甘味が凝縮され、シャキシャキした食感に。出荷数は300箱(1箱6個入り)と限られてきますが、「付加価値の高い柿を作ることで、農家にもやりがいが生まれます。後継者不足が悩みですが、例えば定年退職してじっくり柿作りをやってみたいというような人が増えたらいいですね」。
剪定(せんてい)から草刈り、消毒、虫取りなどすべて手作業。雨に濡れると渋抜きできないため、収穫は晴れた日に行うそう
右が炭酸ガス脱渋で、左が霊峰。果肉が真っ黒になるのはタンニンによるもの。同じ品種とは思えません ※霊峰の出荷時期は11/10〜11/25(予約受付中)
「ヘタの部分にちょっと焼酎をつけて、ビニール袋で密閉します。1週間ほどで甘くなりますよ」(岡本さん)
「柿と牛乳をミキサーにかけた柿シェイクが好きです」(小畑さん)
「パイ生地に乗せてピザ風に。去年は地元の和菓子店とコラボして、太秋を使った柿大福を商品化してみました(今年は発売未定)」(岡本さん)
「10月下旬~12月上旬は柿の旬に当たりますが、これは越前ガニ漁の始まりの時期(11月6日〜)とほぼ重なります。私たちの間では、『柿のおいしい時期はカニもおいしい時期』とお客さまにお話ししています」(岡本さん)