琵琶湖のほとりのパン工房「ジュブリルタン」に行ってきました
個性豊かな蔵元がいっぱいの滋賀県。お酒選びに迷った時には、ラベルのデザイン重視で手に取って、新しい味に出合ってみませんか。今回は、編集部がビビッときたラベルのお酒を厳選。そこに込められた思いを蔵元に聞きました。
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「Sensation 純米黒ラベル生原酒」(720ml・1350円)。うま味と酸味が感じられる味わい豊かで切れのよい酒質。ワインを思わせる爽やかな風味が人気。同シリーズの「白」もあり(値段は黒と同じ)。こちらは柔らかな優しい酸味がありクリアで切れのいい味わい
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「MONSOON 吟吹雪 貴醸酒火入」(720ml・1998円)。滋賀県産吟吹雪100%使用。エキゾチックで鮮烈な含み香と濃密な甘み、その甘みを引き締める酸のバランスが特徴
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「こんな日本酒もあるんだ!」と感じさせる味もさることながら、「今夜、都内、某所」「恋をするたびに…」といった銘柄のネーミングセンス、小説の装画を思わせるラベルデザインにも驚かされる笑四季(えみしき)酒造のお酒。これらをプロデュースしているのは、蔵元杜氏の竹嶋充修(あつのり)さん。完成した酒の味や香り、飲む時のシチュエーションまで熟考して決めているそうです。
今回は、入手しやすい定番品を中心に紹介。同酒造の名を一躍広めた「MONSOON(モンスーン)」シリーズは、ドイツの貴腐ワインから着想を得て造られた貴醸酒。水の代わりに酒を使用して仕込んでいるため、本来分解されるはずの糖が残り、高級な甘口ワインのような味に仕上がっています。ラベルには現代の浮世絵画家・東學(あずま まなぶ)さんが描いた妖艶な女性像が。海外からの注文も多いそうですよ。
甲賀市水口町本町1-7-8、TEL:0748(62)0007
http://www.emishiki.com/
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「近江ねこ正宗・kin-un-neko(金運ねこ)純米吟醸酒」(720ml・1598円)。米由来の味にほんのりとした香りが特徴。「商売繁盛、金運上昇」を願い、猫は金色。右手で福を招いています
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「近江ねこ正宗・HACHIWARE(ハチワレ)純米酒」(720ml・1382円)。温和で人懐っこい白黒の〝ハチワレ猫〟をイメージ。純米酒ならではのコクのある味わい
「近江ねこ正宗・SIRONEKO(しろねこ)純米吟醸」(720ml・1490円)。すっきりした味わいにほんのり広がる香りが爽やか。キリッと冷やしてワイングラスで。クールでプライドが高い白猫をイメージ
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耳がひょっこり飛び出た猫型ラベルに、ついつい触りたくなるモフモフ素材のピンクの鼻。見ているだけでも癒やされるラベルが特徴の「近江ねこ正宗」は、近江酒造の人気シリーズです。
「猫といれば和む。お酒を飲めば和む。〝良きパートナー〟という意味で猫と日本酒は相通ずるものがあります」と話すのは、蔵元の今宿喜貴さん。猫が大好きで自宅では約30年間猫を飼っているそう。写真で紹介したもの以外に、2月下旬にはシリーズ初となる梅酒「UMENEKO(梅猫)」と純米酒「HARUNEKO(春猫)」の販売がスタート。「次はどんな猫が?」とワクワクしますね。同時期から、シロネコやハチワレも今季醸造の新酒に切り替えられるので、この機会にぜひ。
東近江市八日市上之町9-16、TEL:0748(22)0001
https://shigasakari.jp/
「特別純米 十水仕込 雨垂れ石を穿つ」(720ml・1566円)。トロリとしたリッチな飲み心地と爽やかな後口。飲む温度によってさまざまに味わえるのも魅力
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グリーンのラベルにびっしり並んだ線と点の模様は、よく見ると感嘆符の〝ビックリマーク〟。「『雨垂(あまだ)れ』とも呼ばれるこの記号を使って、この酒がもたらす感動と驚きを表現しました」と福井弥平商店蔵元の福井毅(たけし)さん。
その純米酒「雨垂れ石を穿(うが)つ」は、江戸時代に行われていた手法「十水仕込(とみずじこみ)」で製造。ごく少量の水で丁寧に仕込むため、味がとても濃く、後口のいい爽やかな味わいで「今まで飲んだことのないおいしさ!」と驚く人も多いそう。冷やでも燗(かん)でもおいしく、和食にも洋食にも合う懐の広さも魅力。2018年には世界的に注目を集めるワインコンクール「ブリュッセル国際コンクール」に新設された日本酒部門でプラチナ賞を受賞。国内外のさまざまなシーンで高い評価を受けています。
高島市勝野1387-1、TEL:0740(36)1011
http://www.haginotsuyu.co.jp/
「雨垂れ石を穿つ」のバーコードは雨垂れ模様、高島にある「畑(はた)の棚田」で収穫されたコシヒカリを使った純米吟醸「里山」のバーコードは稲穂の模様! 心和むデザインですね。
「福のしずく 辛口純米吟醸 無濾過生原酒」(720ml・1404円)。山田錦・吟吹雪のうま味がギュッと詰まった、濃縮された米の味わいと穏やかに切れる後口がなめらか
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ふんわり優しい笑顔のお多福がチャーミング。こちらは「雨垂れ石を穿つ」と同じ蔵元、福井弥平商店が醸造しています。とはいえ蔵元単独で企画・製造しているのではなく、11の酒販店と卸問屋と共に組織している「福を呼び込む会」で企画したもの。同会は「日本酒のおいしさを広めたい」という思いで約10年前に発足。酒の味やネーミング、ラベルデザインなどを話し合い、「福のしずく」が生まれました。
「日本酒を通してたくさんの人に福をもたらしたい」という気持ちが込められたネーミングとイラスト。かわいいお多福さんは、会員の親戚の女性が描いたものだとか。見る人を幸せな気持ちにする不思議な力がありますね。
同会代表・加藤酒店=大津市木下町13-1、
TEL:077(522)4546、
http://katosaketen.kera.jp/
「純米吟醸酒 権座」(720ml・1620円)。手間をかけて作られた米の上質なうま味が楽しめる。やや辛口で後口のキレが抜群
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近江八幡市にある、琵琶湖の内湖・西の湖。そこには、船でしか行くことのできない田んぼがあるのを知っていますか? 地元の人たちはその田んぼを「権座(ごんざ)」と呼んでいます。
この権座を次世代に残すため、2008年に発足したのが「権座・水郷を守り育てる会」。同会の取り組みの一つとして造られているのが、喜多酒造の「純米吟醸酒 権座」です。
原料となる米は、権座で育てた酒米「滋賀渡船六号」。収穫された米を田舟で対岸へ運び、喜多酒造の能登杜氏によって口当たりが良くふっくらと優しい味わいに醸されます。
力強くも温かい印象を受けるラベルは、竜王町にある作業所で作られたもの。琵琶湖のヨシを混ぜて和紙をすき、丸い形にちぎってボトルに手張りしています。出荷は春と秋の年2回。3月中旬に新酒が出荷される予定です。3月24日(日)には、権座にて新酒のお披露目会を実施。興味のある人は、権座・水郷を守り育てる会事務局の大西さん=携帯電話:090(8124)7649=へ。
東近江市池田町1129、TEL:0748(22)2505
http://kirakucho.jp/