子どもの背骨、 大丈夫?
「気が付いたら何時間も座りっぱなしだった」。そんな人は、健康リスクが高まるそう。体への影響などを探ってみました。
イラスト/松元まり子 記事提供/京都リビング新聞社
近ごろ、座っている時間の長さと健康リスクの関係が、多くのメディアで取り上げられるようになりました。
「2020年に世界保健機構が発表した『WHO身体活動・座位行動ガイドライン』でも、座りすぎで不健康になると記載され、注目されました」とは、京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学の講師・小山晃英先生。
座りっぱなしが体に与える影響を、対策法も含めて教えてもらいました。
将来介護が必要なリスクが高まる〝ロコモティブシンドローム〟との関係についても聞いていますよ。
筋肉を動かさないことで血行不良に
「歩いたり腕を曲げたりなど、体が動くのは筋肉が伸び縮みするから。
ところが、座っているとその動作が完全にオフになります。筋肉は動かすと、その周りの血管の収縮と拡張が自動的に行われますが、それがストップすると、血流が悪くなります。
さらに座っている時間が長いと、いすに接している背中やお尻、足といった部分に圧がかかって血管が縮こまってしまい、これも血流が悪くなる原因の一つに。
冬場に、家でじっといすに座っていると足先が冷たくなってくるのはこのせいです。逆に、歩いたりして筋肉を動かすと、血の巡りがよくなり、体がぽかぽかしてきますね」
生活習慣病のリスクも
血流が悪くなることで、病気の心配もでてきます。
「血行不良と筋肉を動かさないことによる新陳代謝の低下、すなわち活動量の低下が、高血圧や糖質異常症、糖尿病といった基礎疾患といわれる生活習慣病、さらには循環器疾患やがんにも関わることが、多くの論文などで発表されています」と、小山先生。
「国内の35~69歳の男女約6万人を7年ほど追跡した私たちの研究では、日中の座っている時間が2時間増えるごとに、死亡リスクが15.3%増加することが認められました。さらに、生活習慣病のリスクのある人ほど、より顕著であることも分かっています。
また、普段座っている時間が長いからと、余暇時間(仕事をしていないとき)にジムに行くなど運動活動量を増やしても、これらのリスクはなくならないことも明らかになりました」
平日の座りすぎを解消するために、休日にまとめて運動してもだめなんですね。
2011年に行われた国際調査によると、平日に座っている時間が最も短い国はポルトガルで2.5時間でした。では日本はというと、7時間と世界一長いという報告もあります。
「健康な体づくりには運動や睡眠、食事が大切といわれますが、座っている時間が長くならないということも、意識するように心掛けてください」
教えてくれたのは
- 京都府立医科大学 大学院医学研究科 地域保健医療疫学講師
小山晃英先生 - 「座っている時間が長ければ、こまめに動いて座っている時間を減らすことが重要です。オフィスなどでは、座ったまま膝下を上げるストレッチなども有効です。座りすぎによる血流障害や筋肉の衰えを防ぎ、健康寿命を延ばしましょう」