介護時の住まい、どうする?
この数年で測る機会がグンと増えた体温。体調のバロメーターの一つですが、正しい知識を持っていないと、せっかく測っても適切な判断ができないことも。体温調節の仕組みや測り方、不調に気づくポイントなどの基礎知識を医師に聞きました。
イラスト/かわすみみわこ 記事提供/京都リビング新聞社
健康なときの体温は酵素が働きやすい温度
健康な人の平熱(安静時の体温)は36~37℃程度。なぜ体温は、このように一定に保たれるのでしょうか。
「人が活動するのに不可欠な消化や代謝には、酵素が関わっています。酵素がよく働くのが平熱と同程度の温度なので、体がその温度を維持するようにできているのだと考えられます」と、京都市立病院 総合内科 副部長の檜垣(ひがき)聡先生。
体の表面温度が変化すると、脳の視床下部が指令を出し、体にさまざまな反応を起こさせて体温を調節するそう。
「例えば寒いときは血管を収縮させて血液の流れを少なくし、放熱しにくくします。暑いときは逆の現象が起こります」
ただし、ウイルスの侵入や脱水、ストレスなどの異常が生じると、平熱より体温が高くなる、または低くなることもあります。
時間帯別の平熱を知ることが大切
発熱などの不調の判断に検温は欠かせませんが、「検温には、深部体温に近い体温が測れる耳、舌下、脇のいずれかを使うのが基本」と檜垣先生。最も測りやすいというのが脇です。
「額や手首の表面の赤外線量で計測をする非接触式の体温計も増えていますが、外気温の影響を受けやすいため、あくまで目安に」
測る際の注意点は?「汗をかきやすい人は汗を拭いてから測ってください。食事や運動、入浴の後は体温が上がるので、30分以上待って計測を。また、一度測った後すぐに測ると、体温計が温まっているために高めの数値が出ることがあります。続けて測る場合は5分以上空けて」
時間帯や年齢によって体温が変化することも、覚えておきたい知識です。「健康な状態だと、早朝の体温が最も低く、夕方に向けて徐々に上がり、夜寝る前に再び下がります。個人差もありますが、子どもは体温が高めで、高齢になると低くなる傾向が」
不調にいち早く気づくには、起床時・昼・夕方・就寝前の自分や家族の平熱を把握しておくことが大事。「体調が良い時期に何日間か、1日4回の検温をしてみましょう。その時間帯の平熱より1℃以上温度が高い、または低い場合は不調の可能性があります」
正しい体温の測り方
- ※計測時間は体温計によって異なります。詳しい測り方は、各体温計の説明書で確認を
- ※脇用体温計には、数十秒程度で測れる予測式のほか、約10分かけてより正確な体温を計測する実測式、実測・予測のいずれも可能なタイプがあります
- 教えてくれたのは
- 京都市立病院 総合内科 副部長
檜垣 聡先生