現代人の目のはなし
「足が痛くて快適に歩けない」「長時間立っていると、かかとが痛くなる」など、足のトラブルを抱えている女性が増えているようです。そこで、女性に多い足のトラブルについて、専門家に話を聞きました。
紙面協力/広島リビング新聞社
親指が〝くの字〟に曲がる
❶外反母趾
外反母趾とは、足の親指が小指のほうに〝くの字〟に曲がり、足の甲が左右に広がって、親指の付け根の骨が飛び出した状態。いったん指が曲がってしまうと、基本的に元に戻ることはありません。飛び出した部分が炎症を起こして痛くなったり、指の付け根の裏側あたりにマメができて痛くなることも。悪化して痛みが強くなると、歩き方や姿勢が崩れ、腰痛や膝痛の原因に。中には指が変形していても、痛みがない人もいますが、変形が進むこともあるので、放置せず、早めに受診を。
ココをチェック
□親指が内側に曲がっている
□足指の付け根の裏にマメがある
足指のしびれ・痛み
❷モートン病
打ったり、ひねったりしたわけではないのに、指の間がしびれたり、痛みがあるときに疑われるのがモートン病。中高年の女性に多いと言われています。中腰の作業やハイヒールの常用、つま先立ちの状態が長時間続くことで、指と指の間の神経が圧迫されて起こります。長期化すると、神経がしこりのように大きくなり、圧迫したり、体重をかけることで、しびれや痛み、灼熱(しゃくねつ)感を引き起こします。
ココをチェック
□主に足の親指から数えて3番目と4番目の指の間がしびれる
□神経に触るようなビリッとした痛みがある
かかとから土踏まずにかけてズキズキ
❸足底腱膜炎
足の指の付け根からかかとまで、足の裏に膜のように張っている「足底腱膜」というじん帯は、蹴り出しの力や着地するときのクッションの役割があります。長時間の立ち仕事や歩行、足に負担のかかる靴の着用、スポーツなどによる使い過ぎにより、炎症や微小な断裂を起こし、かかとから土踏まずにかけてズキズキと痛むのが足底腱膜炎です。かかとの接する場所に骨のトゲができることも。
ココをチェック
□朝起きて、最初の一歩を踏み出したときに、
かかとから土踏まずにかけてズキッと痛い
□かかとの底側を押すと痛い(●部分)
話を聞いたのは
平尾 健さん
広島市医師会会員
平尾クリニック(佐伯区)院長
足の筋トレと靴選びで
元気な足に!
足トラブルの症状を和らげ、予防するための方法を平尾さんに聞きました。
足底腱膜炎
朝、起きて最初の一歩目に痛みを感じます。歩くうちに徐々に軽くなり、夕方になって歩く量が増えるとともに再び痛みが強くなります。足を酷使するランニングなどのスポーツは控えましょう。足のアーチをサポートし、かかとへの負荷を軽減するインソールを装着したり、鎮痛剤やシップなどで痛みを和らげます。足指と足関節を反らすストレッチも効果的。足底腱膜の柔軟性を高めることで、痛みの緩和・予防になります。
ストレッチ例1
ストレッチ例2
足の指から足首にかけて反らします。足裏が伸びるように行いましょう。10回を1セットにして、1日3セット以上を目安に
外反母趾
主な原因は足の形と靴。足裏には縦横にアーチがあり、歩くときの衝撃を和らげるクッションの働きをしています。足裏の筋力が弱くなったり、筋腱のゆるみが生じると横のアーチが崩れ、足の横幅が広がってしまう「開張足(かいちょうそく)」になり、外反母趾を引き起こします。また、ハイヒールや先細の靴を履くことで、負荷が掛かり、変形が進んでいきます。締め付けのキツイ靴下やストッキングも要注意です。症状を改善し、進行を防ぐには、足の筋力強化が有効。足の指でグー・チョキ・パーをする足指じゃんけんなど、簡単なトレーニングを毎日続けましょう(下記参照)。予防にも効果的です。
ホフマン体操
幅の広いゴムバンドを両足の親指に掛け、かかとをつけたまま、足先を外側に開いて戻すを繰り返す。ゴムバンドが伸びて親指を引っ張ることで変形を矯正
タオル寄せ運動
床に敷いたタオルの端に両足を載せ、かかとをつけたまま両足の指でたぐり寄せる。タオルを元に戻して、繰り返す。足指の屈伸と開閉をすることで筋力を強化
指を引っ張る
親指を内側へ開くようにゆっくりと引っ張ったり、親指を回すことで、指を柔らかく保つ
小学生の足も危険!?
足トラブルの低年齢化が問題となりつつあります。オシャレを楽しむ小学生が増え、最近はヒールの高い靴やブーツを履く子どもが目立つようになりました。しかし、骨格が固まっていない時期にヒールを履くと、姿勢が悪くなるだけでなく、外反母趾などのトラブルが起こる可能性も高まります。小学生でヒールの高い靴を履くのは要注意ですね。
足に優しい靴って?
自分の足に合った靴は、さまざまな足トラブルを防ぐのに効果的です。「足に優しい靴」とは、ヒールは3㎝以内、靴の先はとがっておらず、靴の中の前部分が自分の足形に合う程度に幅広く、指先から靴の先まで1㎝程度のゆとりがあるもの。さらに、かかとが靴の最後尾にぴったりフィットし、足の甲の部分からかかとまでがグラグラせずに安定しているひも靴が良いと言われています。朝と夜では足のむくみなどで大きさが変わるので、靴を履くごとにひもを調整し、きちんと締め直すことが基本です。きつく締めすぎないようにしましょう。
また、行事や仕事などでハイヒールを履く際は、足に優しい靴を1足用意しておいて、休憩時などに履き替えることをオススメします。