
さわやかな香りが食欲をそそる!石山寺【蕎麦屋 すみ蔵】の「すだち蕎麦」
寒い寒いと引きこもりがちな冬。でも雪をまとった美しい景色に会えるのもこの時期ならでは。県内で楽しめるとびきりの〝冬映え〟スポットを紹介します。暖かくして出かけましょう!
黄色と青のコントラストにうっとり
雪の比良山系と琵琶湖と菜の花が生み出す景観にうっとり。「畑の南東の場所から、北西に向かうアングルが人気。カメラを持った人が行列していることも」と谷本さん
湖岸に広がる〝黄色いじゅうたん〟に「こんな真冬に菜の花?」と驚く人が多いそう。守山市の第1なぎさ公園では、約1万2000本ものカンザキハナナという冬咲きの菜の花が見頃を迎えています。
同守山市が県の委託を受け、約4000haの畑一面に菜の花を栽培するようになって22年目。「花の少ないこの時期に咲く品種としてカンザキハナナが選ばれたんです。大雪が降ると折れてしまうなど、冬ならではの苦労もありますが、この美しさが年々評判を呼び、京阪神からの観光客も増えています」と、守山市観光物産協会の谷本真理さん、寒河江(さがえ)裕子さん。
「昨年秋の台風後は、倒れた苗を丁寧に起こすなどの苦労もありました」
煙るように咲く花の中で香りに包まれていると、ひと足早く春を迎えたような気持ちに。〝雪が降った翌日の晴れた午前中〟は、もっとも景色が美しく見えるタイミングだそう。
意外に人っぽい?鳥たちを間近で
昼間は田んぼでエサを食べていることが多いコハクチョウ。「よく見ていると家族でコミュニケーションをとっているのがわかりますよ。車の中から観察するのもいい方法です」(池田さん)
湖北野鳥センター(長浜市)周辺の琵琶湖岸は遠浅で、ヨシ原などが茂る〝琵琶湖の原風景〟といわれる地域。四季を通じて現在約140種類もの野鳥が見られ、特に冬はコハクチョウやオオヒシクイ、カモ類などの水鳥が多く集まる場所として有名です。また東側にある山本山には、天然記念物のオオワシも飛来。取材時も湖岸を歩くバードウオッチャーの姿が多く見られました。
「センターの観察室には望遠鏡を完備しているので、雪景色の中の鳥たちの様子をじっくり観察できます。同じように見えても、1羽1羽個性があって見飽きないですよ」と琵琶湖水鳥・湿地センター・湖北野鳥センター専門員の池田昇平さんは話します。
鳥の姿を観察しやすいのは午前中。日没前は、『日本の夕陽100選』にも選ばれたドラマチックなシーンに出合えるかも。
全身で味わう雪景色
賤ヶ岳山頂から余呉湖を望む(余呉湖方面2015年撮影)息を飲むほどの美しい眺めは、琵琶湖八景のひとつ「新雪—賤ヶ岳の大観」と評されるほど
県内有数の豪雪地帯・余呉町。森に囲まれた余呉湖畔や隠れ里のような集落、どこを歩いても風情ある雪景色を楽しめます。
もっと余呉の冬を体感するなら、スノーシューハイキングに挑戦してみては?ウッディパル余呉では、雪の上を歩ける〝かんじき〟のような道具を使って楽しむ雪山ハイキングの企画やガイドを行っています。「賤(しず)ヶ岳の山頂からの眺めは壮観です。菅山寺は雪が降り積もった古寺と森が幻想的。ふかふかの雪の上を歩くのはとても気持ちがいいですよ」と同施設の前田壮一郎さん。
神々しいほどの大自然にめぐり合えそうですね。
むくむく春を告げる〝お坊さん〟
ザゼンソウはサトイモ科の多年草。仏像の光背のような仏炎苞(ぶつえんほう)と、花にあたる黄色い肉穂花序(にくすいかじょ)からなる。ちょっと奇怪にも見える独特の姿にひかれる山野草ファンも
20分くらいでひと回りできる散策道が整備されている
2月17日〜3月11日の土日のみ、地元ボランティアガイドによる案内所「ざぜん草の里休憩所」を開設
僧侶が座禅を組んでいるような花の姿が名前の由来とされるザゼンソウの群生地が、今津町の住宅地の中にあります。この種の群生地としては国内南限で、総面積は約1000km2。昭和56年に今津中学校の生徒が理科の観察で偶然発見したのだそうで、以来地元の人たちによって大切に保護・管理されてきました。
2月中旬ごろ散策道を歩くと、湿地のあちこちに〝小豆色の法衣を着た小さなお坊さん〟のような姿が。派手さはありませんが、独特の風情と生命力が感じられます。開花する時に25℃近くまで発熱するという性質を持っているため、雪がうっすらと積もったときは、花だけが顔をのぞかせる光景が見られます。ひと足早い春を求めて、毎年訪れるという人も多いそう。
冬空に凛と立ち並ぶ姿は圧巻
円すい形の樹形が美しいメタセコイアは、昭和56年に植樹されたもので、現在樹高約35mにもおよぶ。雄大な景色に滋賀にいることを忘れそう!
雪が降りしきる光景もロマンチック
滋賀の写真映えスポットとして人気が高いマキノ高原のメタセコイア並木。マキノピックランドを縦貫する全長約2・4kmの道路沿いに、約500本ものメタセコイアが植えられ、四季折々に美しい景観を見せてくれます。
冬は木々が葉を落とし、寂しい印象になるかと思われがちですが、晴れの日は青空と並木のコントラストがすがすがしく、雪の日は水墨画のような幽玄な光景が見られるなど、冬ならではの美しさがあります。「観光パンフレットのような青空をバックに枝に雪が積もった光景は、実は気象条件が整わないとなかなか見られないんです。それより先入観なしで周辺を歩いてみて下さい。天候や時間、見る方向によって思いがけないすてきな風景に出合えるかもしれません」(びわ湖高島観光協会の遠藤沙織さん)