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ぶらりと歩ける街並みを紹介する「街並みぶらり探訪」。今回は滋賀県内でも古い歴史を持つエリア・瀬田の唐橋付近を歩きます。スタートは京阪唐橋前駅。瀬田川に向かってGO!
日本書紀にも登場する古代からの交通の要
瀬田唐橋
近江八景の「瀬田の夕照(せきしょう)」で知られる「瀬田唐橋」。
その歴史は古く、日本書紀には大友皇子と大海人皇子が争った壬申の乱(672年)の戦場として「瀬田橋(※)」が登場し、その後も承久の乱(13世紀)や建部の戦(14世紀)など、数々の戦乱の舞台になっています。
その理由は、同橋が当時は琵琶湖に架かる唯一の橋であり、都に入る東の関所の役割を果たしていたからだそう。「唐橋を制する者は天下を制す」といわれるほどの重要拠点だったのです。また、「急がば回れ」の語源となったのも同橋。室町時代に「急がば回れ瀬田の長橋(※)」と歌われたのが始まりだとか。
現在のように中洲を挟んで大橋・小橋の形になったのは、織田信長が1575年に架け替えてからといわれています。21世紀の今、唐橋は名神瀬田西インターにも近く、車の往来が激しい通り。いにしえの面影は少し薄れてしまいましたが、昔も今も変わらず交通の要衝のようですね。
※瀬田橋・長橋=ともに唐橋の別名
日本武尊をまつる「近江国一之宮」
建部大社
大津市神領1-16-1 TEL:077(545)0038
唐橋を渡ってさらに東に歩くと、やがて建部大社の一之鳥居が見えてきます。
建部大社は、316年に神崎郡建部郷(現在の五箇荘伊野部)に創建されたという歴史ある神社。奈良時代の755年には、正式に「近江国一之宮」と定められました。
神門をくぐると目に入ってくるのが、拝殿を守るように前に立つ大きな3本の杉。この杉は一夜にして生えたという伝説があり、今も「御神木 三本杉」として大切にされています。
拝殿の奥には日本武尊(やまとたける)をまつる正殿と、大己貴命(おおなむちのみこと)をまつる権殿が並んでいます。その昔、14歳の源頼朝が京から伊豆に流刑される際、建部大社に立ち寄って源氏再興を祈願したという記録が残るなど、出世開運の神として信仰されてきました。
境内には「水琴窟」や「頼朝公の出世水」、「御神水」など、水にまつわる見どころがあるのも特徴です。
石山寺
大津市石山寺1-1-1 TEL:077(537)1105(石山観光協会) 開門8:00~16:30、入山料 中学生以上600円
京阪唐橋前駅の次、石山寺駅から歩いて約10分くらいで西国三十三所第十三番札所でもある、真言宗の大本山「石光山石山寺」(通称石山寺)に着きます。境内には寺名の由来となった天然記念物の巨大な硅灰石(けいかいせき)が。その上に建てられた本堂では、かつて紫式部が「源氏物語」の構想を練ったといわれ、国宝にも指定されています。境内は広く、アップダウンも多いので、履きやすい靴で訪ねましょう。
歴史の街・瀬田の〝もう一つ顔〟といえるのが、「びわこ文化ゾーン」。
青葉が美しいこの季節、花や緑を求めて公園を散歩しませんか。
びわこ文化公園や滋賀県立図書館、滋賀県埋蔵文化財センターなどがある「びわこ文化ゾーン」(美術館は改装休館中)。6月にかけてサツキやアジサイ、ナツツバキなどが見頃を迎えます。
「子ども連れなら遊具のある『こども広場』や、芝生で遊ぶのもおすすめ。『彫刻の路』の作品も見てほしいですね」と、びわこ文化公園管理事務所の肥山陽子さん。「5月19日(土)にはロープを使った木登り体験会(有料)や、26日(土)から6月3日(日)まで『サツキまつり』も開催しますので、ぜひ遊びに来てください」
滋賀県埋蔵文化財センター
TEL:077(548)9681 9:00~16:30、土日祝休。見学無料
常設展示は7月中旬まで「近江の調理史」。主食のドングリを煮炊きした縄文早期の深鉢や、古墳時代の炊飯具など興味深いものがずらり。「琵琶湖に沈んだ遺跡では、酸素がないので木製品や穀物が腐らずに残っていることも」と、同センターの小竹志織さん。事前に電話すれば、スタッフが解説してくれるそうです。
cafe Frank'y
TEL:077(544)5607 11:00~17:00(16:30LO) 休みは図書館に準ずる(基本は月火、祝の翌日)
4月7日に図書館1階にオープンしたカフェ。米は滋賀県産永源寺米を使用、豆腐やみそも地元のものを提供しているそう。卵を使わないバニラアイスとマンゴーシャーベットは、アレルギーを持つ子どもにも好評だとか。
- cafe Frank'y
- 店長 梅原裕也さん
- 「図書館や公園に来たついでにふらっとフランクに来てほしい、そういう思いをこめた店名にしました。また来てもいいな、とお客さんに思ってもらえるような店にしたいですね」
夕照庵
TEL:077(545)2977 9:30~16:30(11月~3月は10:00~16:00) 月休(祝日の場合は翌日)
日本庭園「夕照の庭」に面した茶室。四季折々の美しい景色を眺めながら、抹茶と和菓子(セットで350円)をいただけます。
公園西側の一番奥には7世紀頃の製鉄炉が見つかった源内峠遺跡(d)があります。やはり瀬田は歴史の街と再認識。
公園全体をぐるっと一周しても、1時間半くらいで歩けそう。お弁当を広げたり、図書館で借りた本を木陰のベンチで読んだり、それぞれの時間を楽しんでみては。