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春と秋に特集している城跡シリーズ。今回は日本五大山城に数えられる小谷(おだに)城をピックアップ。城主・浅井(あざい)三代の波乱に満ちた50年を、専門家と振り返りながら巡りました。立ち寄りスポットとして温泉施設も紹介。
標高約495mの小谷山。手前の小さな山が、織田軍が小谷城に攻め入るために陣を構えた虎御前(とらごぜ ※)山。こんな至近距離でにらみ合っていたなんて、想像するだけで肌が粟立ちます
※とらごぜんと表記される場合あり
- 今回案内してくれたのは
- 公益財団法人滋賀県文化財保護協会
写真上左から山口誠司さん・堀真人さん・木下義信さん・ 小林裕季さん
滋賀県内で文化財の発掘調査に取り組み、講演会などを通してその価値と魅力を発信
小谷城主・浅井氏の下克上
小谷山に巨大な城を築いたのは、もとは北近江守護・京極家の家臣であった浅井亮政(すけまさ)。京極家の内紛(1523年)に乗じてクーデターを起こし、下克上に成功した亮政は、戦国大名・浅井家の初代当主となりました。
そして、三代目にして最後の当主となったのが浅井長政です。「弱冠16歳で南近江に勢力を持った六角氏に野良田の戦い(1560年)で勝ちました。これをきっかけに、六角氏への従属状態に甘んじていた父・久政から家督を奪いました」と山口さん。長政の勇猛ぶりが伺えます。
織田軍の総攻撃で落城
「織田信長も一目置く存在だった」と長政を評するのは堀さん。「信長とは同盟を結び、その妹・お市と結婚しました。しかし、浅井家と親交のあった朝倉氏を信長が攻撃したことから対立し、信長・徳川家康連合軍に姉川での激戦(1570年)で敗れました。その後、信長側の羽柴(豊臣)秀吉に調略を仕掛けられ、1573年に総攻撃を受け落城。29歳で自刃しました」と続けます。
今や紅葉の名所となっている北近江最大級の山城跡。まもなく朱色に染まる景色の中、名立たる武将と渡り合った浅井三代の興亡を、ひっそりと残る遺跡を通して思い巡らせてみては。
歴史が溶け込むような湖北を一望
小谷城は、清水谷を抱きかかえるように延びる小谷山の尾根上に築かれています。今回は番所まで車で上り、見どころが集中する東側の尾根を2時間半ほどかけて往復しました。
実際に歩くと、大きな曲輪(くるわ、城を構成する区画)がひな壇状に連結している様子がよく分かります。その中腹にある桜馬場という曲輪からの眺めは壮大で、とっておきのビューポイント。織田軍が陣を構えた虎御前山、支城があった山本山、長政が久政を一時幽閉した竹生島などが見晴らせ、歴史が立体的に浮かび上がるよう。お見逃しなく。
政庁や居住地も兼ねた珍しい山城
小林さんは専門的な視点から、「中世の城は通常、居館を山麓に、軍事施設の城を山上に築き、平時の居所と有事の備えを分けていました。これに対し小谷城は、山上から多くの日常雑器が出土したため、山上でも生活が営まれていたことが明らかになりました。裁判や儀式を行う建物も山上にあったことが分かっています」と解説。
城が軍事施設としてだけではなく、政庁や居住地としても機能していた例として、中世山城の調査に影響を与えたそうです。
①小谷城戦国歴史資料館
浅井家の歴史年表や小谷城のジオラマ、出土品などを展示。小谷城の麓にあり、ここで予備知識を得てから登城するのもおすすめ。ガイドも頼めます(要予約、有料)
②桜馬場からの眺望
桜馬場跡から眺める湖北平野と琵琶湖の景色は時間を忘れて見とれてしまうほど雄大。NHK大河ドラマのロケ地にもなったそう
③首据石
首据石付近の展望スペースからは伊吹山や、川の水が血で染まるほどの激戦が繰り広げられたと伝わる姉川の古戦場が見えます
④黒金御門
城の主要部への出入り口。両脇に積まれた巨石が残り、立派な門があったことが想像できます
⑤大広間
本丸の一段下にある城内最大の曲輪。長さ85m、幅35mの広さがあり、かつては御殿が建ち、宴会などが催されていたとか
⑥大堀切
本丸の裏側の尾根を深さ10m、幅15mほどえぐって作ったという防御施設。連なる曲輪をここで分断し、守りを強化しているよう
⑦大石垣
神をまつった山王丸の斜面に残る高さ約5mの石垣。「六角氏や京極氏の城と同じく、小谷城は中世城郭でありながら近世城郭の特長である立派な石垣を先駆的に取り入れていました」と木下さん
立ち寄りスポット
源泉かけ流しの「須賀谷温泉」で疲労回復!
小谷山の麓にたたずむ温泉宿「須賀谷温泉」。空気に触れると褐色に濁る鉄泉が湧き、かつて長政やお市、家臣の武将らが湯治に訪れたと伝わります。源泉かけ流し式で、城跡散策で疲れた体をじんわり癒やすのにぴったり。宿泊プラン、食事つき日帰りプラン(事前予約制)のほか、午前11時~午後3時の時間帯は入浴のみの利用が可能です。
- 【DATA】
- 長浜市須賀谷町36(小谷城スマートICから車で約5分)
- TEL:0749(74)2235
- 入浴のみ(午前11時~午後3時)の利用料金/大人1000円、1歳~小学生500円
含鉄泉のにごり湯が楽しめる内風呂