
ニアタイ・和音
寒さが厳しい冬は、バードウオッチングにぴったりの季節。多くの自然が残る滋賀は、琵琶湖周辺などで鳥たちのいきいきとした姿を見ることができます。初めての人でも気軽に楽しめるコツやポイントを、専門家に聞きました。
写真提供/日本野鳥の会滋賀・湖北野鳥センター・新旭水鳥観察センター
滋賀で記録されている野鳥は約340種。これは日本で記録されている種類の半分以上にあたるとされ、滋賀は野鳥の宝庫といえそう。
「特に冬はバードウオッチングのベストシーズン。シベリア方面から渡ってくる冬鳥や、山から平地に降りてくる漂鳥が多いことに加え、木々が葉を落とすため見つけやすいということが理由です」とは、日本野鳥の会滋賀の森田尚さん。
では実際に野鳥を探すコツとは。
「初心者なら、比較的大きくて動きもゆっくりな水鳥の観察から始めては。最初は同じように見えますが、『マガモは頭が緑色に光っている』『オオバンは体が真っ黒でクチバシとおでこが白』など、色や形状で見分けられるとがぜん楽しくなります。
公園や庭だと、木の実をついばみにくるジョウビタキやメジロなど。街中なら、電線にモズやカワラヒワが止まっていたり、駐車場でセキレイの仲間が歩いていたり。まずは鳴き声を頼りに、静かにその方向を探してみてください」
鳥たちの自然な行動を見られるのもバードウオッチングの魅力の一つ。「例えばエサのとり方。水面でお尻だけを浮かせていることがありますが、これは水面採餌型の水鳥の特徴です。カイツブリのように完全に潜水するタイプもいますよ。ハシビロガモが数羽で水面をグルグル回っていることも。これは水流を起こして水底のエサを巻き上げていると言われています。
ほかにも縄張り争いや求愛行動など鳥ごとに特徴が。知れば知るほど面白くなっていくと思いますよ」
水辺で見られる野鳥
キンクロハジロ(雄)。白黒のツートンカラーが水面でよく目立つカモ。寝ぐせのような冠羽がユーモラス
頭が緑でクチバシが黄色い、古くから日本人になじみ深いマガモ(左は雄、右は雌)。渡り鳥ですが、一年中滋賀にいる個体も
ホシハジロ(雄)。潜水採餌型のカモで、頭はレンガ色、背中が白いのが見分けのポイント
数羽で回転しながら食事をするハシビロガモ
公園や庭で見られる野鳥
胸や尾羽がオレンジ色で翼に白斑のあるジョウビタキ(雄)。「ヒッヒッカタカタ」と鳴きながら尾羽を振り、おじぎするように頭を振るのが特徴
電線に止まるシジュウカラ
青と赤のツートンカラーが目を引くイソヒヨドリ(雄)。かつては磯に生息し、近年は市街地でよく見かけるように。鳴き声は「ヒーリー」と清らか
セグロセキレイ。その名のとおり背が黒いセキレイ。長い尻尾を上下に振りながら、道路や河川敷などをピョコピョコ歩いてエサをとる姿が見られます
琵琶湖周辺は、比較的どこでも発見や観察がしやすいとのこと。野鳥の基本を学びたいなら「湖北野鳥センター」、もしくは「新旭水鳥観察センター」へ足を運んでみましょう。室内から望遠鏡で鳥たちの様子を見ながら、スタッフに気軽に質問でき、旬の情報なども教えてもらえます。また初心者向けの探鳥会やイベントも主催しているので、こちらに参加しても。マンツーマンのガイドツアーもありますよ。
両センターのスタッフに、琵琶湖周辺のおすすめスポットを聞きました。野鳥を観察する際は、適度な距離を保つことが大切。無理な行動や採集は控えるといった、下記のマナーを守って楽しんで。
探鳥会に参加するのもおすすめ
野鳥観察を楽しむためのマナー
「窓から穏やかな琵琶湖の入江を一望。ソファ席やカフェもあるので、鳥を見ながらゆったりと過ごしていただけます。カモ類やカモメ類、タカ類などが観察できますが、特にカンムリカイツブリ、オオバン、キンクロハジロ、ホシハジロはよく見られ、私は〝4大勢力〟と呼んでいます。また、湖岸のコースを歩くと水鳥がより身近に感じられ、ジョウビタキやコゲラなどの小鳥たちに出合えることも」
教えてくれた人は、石川悠さん
「センター周辺は遠浅の湖岸が広がり、10月頃から多くの水鳥が集まります。シベリアから飛来するコハクチョウや天然記念物のヒシクイほか、マガモ、オオバン、マガン、カワアイサなど約40種類。毎日スタッフが見られる鳥をカウントして館内に提示しているほか、鳥についての質問にもわかりやすく答えています。高倍率の望遠鏡や双眼鏡を用意しているので、鳥たちのおもしろい行動や表情もじっくり観察できますよ」
教えてくれた人は、池田昇平さん
\ 野鳥のプロがアドバイス /
新旭水鳥観察センターの石川さんと、湖北野鳥センターの池田さんに、野鳥の見つけ方とおすすめの観察ポイントを聞きました。参考にして、バードウオッチングを楽しんでみて。
シロハラ(雄)
ホオジロ(雄)
オオバン
左:モズ(雄) 右:はやにえ
カンムリカイツブリ
カワセミ(雄)