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6月24日号の本紙でも紹介した、滋賀の日本遺産「琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺産」。その〝琵琶湖を取り巻く美しい風景や文化〟を巡るさまざまな催しが10月から約半年間、滋賀県全域で開催されます。名付けて「水の文化ぐるっと博」。その見どころの一部を紹介します。
50年に一度のご開帳や本邦初公開も
「『ぐるっと博』では滋賀県全体を博覧会の会場に見立てて、日本遺産を中心に各地で催しを展開します」と話すのは、びわこビジターズビューローの吉原康史さん。
「おすすめは〝すべて〟なのですが…(笑)」と言いつつも、いくつか紹介してくれました。
「特別公開では、なんといっても近江八幡市の長光寺本尊、子安千手観世音菩薩像です。50年に一度しかご開帳されませんので、ほとんどの人にとって最初で最後のチャンスといえるでしょう。
もうひとつは、今回の日本遺産認定を記念して公開される園城寺(三井寺)の唐院諸堂(とういんしょどう)と三重塔初層内部。特に三重塔に安置されている釈迦如来三尊は本邦初公開です。この機会に、滋賀の歴史の奥深さに触れてみては」
長光寺の子安千手観世音菩薩像。写真は御前立
- 主な特別公開
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大津市
・園城寺(三井寺)
唐院諸堂公開 三重塔初層内部初公開
11/17(金)~26(日)
800円(別途入山料が必要)・西教寺
釈迦涅槃図特別公開
11/17(金)~26(日)
500円・石山寺
役行者および前鬼後鬼像
11/30(木)まで
500円(別途入山料が必要)・比叡山延暦寺
西塔釈迦堂内陣特別公開
12/10(日)まで
500円(別途諸堂巡拝料が必要) -
近江八幡市
・長光寺
50年に一度 長光寺の秘仏公開
10/14(土)・15(日) 志納
滋賀ならではの体験ができる
期間中は、街歩きや体験イベントなど、県内全域で多様なプログラムが展開されます。
「高島市の『びわ湖漁体験ツアー』は、針江の内湖で〝もんどり漁〟を、琵琶湖で〝刺し網漁〟を体験し、漁師さんのお宅で郷土料理を味わうというもの。滋賀に住んでいても、琵琶湖の魚を捕ったり食べたりしたことのある人は意外と少ないのでは?
また、冬に森林公園〝くつきの森〟で開催される『雪の森でスノーシューを履いて野生動物の足跡を探そう』も、めったにできない経験だと思います」(吉原さん)
参加には料金がかかりますが、滋賀ならではの貴重な体験ができそうです。
琵琶湖随一のパワースポット・白鬚神社
スノーシューで「くつきの森」を散策
- 主なイベント
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近江八幡市
ヴォーリズ精神と建築に触れるガイドツアー
10/28(土)・29(日)、11/18(土)・19(日)・23(祝・木)・25(土)・26(日) 2000円
近江八幡観光物産協会 TEL:0748(32)7003 -
東近江市
琵琶湖「二つの内湖」ウォーキング
10/22(日)、11/12(日)、2018年3/21(祝・水) 3500円
東近江市観光協会 TEL:0748(48)2100 -
彦根市
古地図で巡る「幻の彦根城外堀ぐるっとツアー」
10/28(土)、11/11(土)・18(土) 1000円
彦根観光協会 TEL:0749(23)0001 -
長浜市
駅から島までガイド同行で日本遺産・竹生島へ
1月までの土日祝 3070円(別途入島料必要)
北びわ湖で渡り鳥ウォッチングとつづらお崎湖底遺跡資料館見学へ
12/1(金)~2018年2月中旬(火曜除く) 1400円
北びわこふるさと観光公社 TEL:0749(78)0300 -
高島市
びわ湖漁体験ツアー 自然の恵みを昼食に
11/4日(土)、2018年3/24(土) 4700円
びわ湖高島観光協会 TEL:0740(33)7101
雪の森でスノーシューを履いて野生動物の足跡を探そう
2018年1/14(日)・27日(土)、2/10(土)・25日(日) 4800円
麻生里山センター TEL:0740(38)8099
大溝の水辺景観・白鬚神社~水辺の街道を歩く
2018年3/31(土)まで随時受け付け 500円
大溝の水辺景観まちづくり協議会 TEL:0740(36)2011 - ※各イベントとも事前申し込みが必要。申込期限や最少催行人員・定員・時間等、詳細は直接問い合わせを
まだまだ紹介しきれないほど盛りだくさんの「水の文化ぐるっと博」。詳しいイベント情報を紹介したパンフレットが発行されています。滋賀県内の各市役所や観光案内所、道の駅などで入手できます。問い合わせはびわこビジターズビューロー=TEL:077(511)1530へ。
地域の歴史的魅力や特色をストーリーに仕立てて日本の文化・伝統を語る「日本遺産」。この4月、甲賀忍者と信楽焼が関わる2つのストーリーが新たに認定されました。そこで甲賀市観光企画推進課の増山勝起さんに、その背景など詳しく聞きました。
忍者の〝真の姿〟を伝えたい
「忍びの里 伊賀・甲賀ーリアル忍者を求めてー」
2つのストーリーの一つは「忍びの里 伊賀・甲賀ーリアル忍者を求めてー」。三重県の伊賀忍者と併せての認定です。「3回目の申請でようやく認定されました。伊賀と甲賀が発祥とされる忍者の歴史と〝真の姿〟を伝えたい」と話す増山さん。
実は半農半士の地侍
「映画やアニメなどの影響もあって、今やその存在は海外でも広く知られていますが、甲賀忍者の実態は〝甲賀衆〟と呼ばれる地侍だったんです。彼らは連携して地域を守っていく中で情報収集のスキルを高めた。戦国時代、その能力が認められて各地の大名に雇われ、諜(ちょう)報活動に務めたんです」
同市甲賀町の油日(あぶらひ)神社は、甲賀衆の合議の場。〝甲賀の総社〟とも呼ばれています。また、湖南市との境にある飯道山(はんどうさん)は、今も続く修験道の霊場。忍者のルーツともされる山伏の修練場でもあったといわれているのだそうです。
「他にも『甲賀の里忍術村』など、彼らの足跡をたどれる場所がたくさんあるので、ぜひ実際に足を運んでリアルな忍者の姿を知っていただきたいですね」
忍者の本当の姿とは…?
窯元の街並みの魅力を発信
「きっと恋する六古窯(ろっこよう)ー日本生まれ日本育ちのやきもの産地ー」
2つ目のストーリーはたぬきの置き物でおなじみの信楽焼に関するもの。題して「きっと恋する六古窯ー日本生まれ日本育ちのやきもの産地ー」です。
信楽焼は鎌倉時代後半に始まったといわれる〝日本六古窯〟の一つに数えられています。越前・瀬戸・常滑・備前・丹波と並ぶ陶器産地です。
「六古窯の産地は良質の土に恵まれ、丘陵の傾斜を利用した窯跡や、住居を兼ねた工房に続く細い坂道が迷路のように入り組んでいるのが特徴です。〝信楽窯元散策路〟をはじめとした、そんな昔のままのセピア調の街並みが、日本の原風景の一つとして認められたのでしょう。
10月7日(土)~9日(祝・月)には信楽地域市民センター周辺特設会場や『県立陶芸の森』等で〝信楽陶器まつり〟も開かれます。ウオーキングや買い物がてら、日本遺産に触れてみてください」
PR活動進行中!
「今回のW認定が、身近な地元の魅力を再発見する機会になれば」と期待する増山さん。現在、忍者や六古窯をテーマにしたホームページや伊賀・甲賀の周遊観光パンフレットを作成中。来年度以降、プロの観光ガイドの養成講座を開く予定もあるそうです。
本格的に動き始めた日本遺産のPR活動。今後の盛り上がりに注目です。
信楽駅前から続く窯元散策路。信楽焼の敷石や道標が風情を醸します
〝福と金運〟をもたらすというたぬきの置き物