「ドーナツの悲劇」【こそだてDAYS】
ママ友関係・近所付き合いを上手く乗り越えるヒントを専門家に聞きました。参考にしてくださいね。
紙面協力/福島リビング新聞社
ただでさえストレスの多い昨今。ママ友とも上手に付き合っていかないと家庭生活の崩壊にもつながりかねません。リビング読者のモヤモヤエピソードを紹介します。
- 子ども以外の共通点がなく、価値観が合わないことが…。(子ども3歳)
- 子どもたちの関係を誤解して一方的に攻撃。後から誤解だと気付いたみたいですが、謝罪の言葉もありませんでした。(42歳、子ども9歳・5歳)
- 仲の良いママ友グループと子どもたちが0歳の頃から誕生会を開いています。4歳になり、徐々に活発な子も出てきましたが、おしゃべりに夢中でわが子を見ないママにモヤッ。(35歳、子ども4歳)
- 年子育児をしていますが、一人っ子ママに、「1人に愛情を注ぎたいから2人目は考えられない。よく産めたね」と言われグサッ。(26歳、2歳・10カ月)
- 子ども同士が仲良くなってしまうと、年齢も育ってきた環境も違うママに(今後の付き合いを考えて)言いたいことも言えない。(35歳、子ども7歳)
- 先輩ママが、「それをやると子どもに悪影響が出るよ!」と専門家でもないのに決めつけた言い方にモヤモヤ。(31歳、子ども1歳)
3つの〝いい〟で仲間づくり
子どもに影響するからうまく付き合わなければならないと、ついつい気負ってしまう「ママ友」との関係。小学生以下の子どもを子育て中のリビング読者52人に、「ママ友は何人いますか?」と聞いたところ、一番多い回答が「10人以上」(20人)。最も多い人で「50人」と答えていました。「3〜5人」と厳選している人もいる中、「面倒だから要らない」という人もいました。
桜の聖母短期大学准教授で臨床心理士の後藤真さんは、〝友〟の字にこだわってかえって苦しくなっているのではと推測します。「『友』には、親しみやすく温かい、気さくで対等な信頼関係・絆というイメージがありますね。でも、友達のはずなのに、ママ『友』同士では我慢や遠慮は当たり前…と漏らす方も少なからずいます。①気負わなくていい、②深入りしなくていい、③犠牲にならなくていいの3つを、なるべく大切にしてほしいですね。そして、これはあらゆる世代の仲間づくりにもあてはまるのではないでしょうか」。
「つかず離れず、ほどほどにゆるい」お付き合い
アンケートでは、「どこからが友だち?」(有効回答数52・複数回答)という質問にも答えてもらいました。最も多かったのが「ランチに行けたら」(26人)。次に「悩み事を相談できたら」(24人)、「自宅を行き来できたら」(23人)、「連絡先を交換できたら」(21人)と僅差。「世間話ができたら」という人も3人いて、意外と友だちの境界線は低いよう。一方、「飲みに行けたら」(9人)、「泊まりがけの旅行に行けたら」(4人)と、こちらは少々ハードルが高いみたい。
「もともと気の合う友人って少数しかいないですよね。親になったからといって、いきなり心を許せる『親友』を探そうと気負わなくて大丈夫。まずは、あいさつができる程度の『ごあいさつママ』や、『ご近所ママ』、『顔見知りママ』、『世間話ママ』あたりから始めていったほうが無理なく自然にお付き合いできます。『つかず離れず、ほどほどにゆるい』感じのさじ加減がおすすめです」と肩の力を抜いた関係づくりを提案します。
アンケートの中には、「自分と意見が違う時に見せる上から目線の態度にモヤモヤ」(48歳・子ども7歳)という意見も。「親しいママ同士であっても、子育ての方針が一致しているとは限りません。あなた自身の居心地の良さを大切にして、ゆるやかに繋がってみてはいかがでしょう」と後藤さんは話していました。
- 教えてくれたのは…
- 桜の聖母短期大学 准教授(臨床心理士) 後藤真さん
「親友」はムリに探さなくていいんです。自分の居心地の良さを最優先にして。
1972年福島市生まれ。20歳で単身渡米。米国フェアフィールド大学院教育学部夫婦家族療法研究科修士課程修了。2002年に帰国。桜の聖母短期大学学生支援部長を経て、2020年4月より健康支援総合センター初代センター長に就任。
※アンケートは、3月25日〜4月3日にかけて、小学生以下のお子さんのいるリビングふくしまWeb会員、LINE会員、読者に実施。有効回答数52。
「ママ“友”がいて良かったぁ〜」エピソード
付き合いが難しい、面倒と感じる一方で、「ママ友がいて救われた」というリビング読者も多いよう。最も多かった声が「学校の情報をいち早く教えてくれる」(子ども11歳)、「学校の教材をすっかり注文し忘れていた時に連絡をくれて事なきを得た」(37歳、子ども8歳)など小学校や園生活の情報交換でのエピソード。また、「子育ての悩みはもちろん、夫や姑の愚痴(ぐち)を聞いてもらえてスッキリした」(31歳、子ども1歳)、「妻、嫁、女性としての不安を話せてすごく救われています」(35歳、子ども9歳・7歳)という人も。仲良くなるにつれ、家族の相談にも及んでいるようでした。
「子育て中、ママ同士でいろいろ情報交換できるというのは確かに心強いですね。もし、その相手が聴き上手で、なおかつ自分の子育て方針に共感してくれる方であれば、相当ラッキーでしょう。子育ての悩みは、スクールカウンセラーや専門家に相談するのもおすすめです」と後藤さんは話していました。
慣れない子育てで不安な時や、ステージが上がるたびに「はじめて」に遭遇する母親にとって、時にママ友は心強い存在に。リビング読者からもすてきなエピソードがたくさん届きました。
- うちは一人っ子。まるで兄弟のように子どもを遊ばせてくれたり、一緒に出掛けてくれる優しさに救われています。(45歳、子ども7歳)
- 第2子を流産してしまった話をしたら、自分のことのように泣いて一緒に悲しんでくれました。それまで無理して明るく振る舞っていたけれど、キチンと自分と向き合え、前向きになれました。(35歳、子ども4歳)
- 私が病院に行く時に子どもたちを見てくれたり、子ども1人を病院に連れて行く時に兄弟を迎えに行ってくれたり。待たせてもらった上に、ご飯までごちそうになったことがあります。(41歳、4児のママ)
- 普段言えない悩みを聞いてもらえること。同じ悩みを共有し合えることで大変な思いをしているのは自分だけじゃないと安心します。(31歳、子ども1歳)
- 保育所に入所するときの持ち物や準備などを説明会前に教えてもらい、前もって準備することができました。(子ども3歳・1歳)
- 子どもの預け先がなくて困っていた時に預かってくれたり、他愛のない話を気軽にできてストレス発散になったりする。(34歳、子ども6歳)
- 1最初から「友」にこだわらない
- 「友」には、親しみやすさや温かさ、気さくで信頼できるイメージがありますがこの言葉にこだわり過ぎるとかえってお互い苦しくなりがちです。①気負わなくていい②深入りしなくていい③犠牲にならなくていい。この3つを念頭に自分の居心地の良さを大切にしてくださいね。
- 2「ごあいさつママ」からスタート
- もともと気の合う友人って少数しかいないもの。親になったからといって、いきなり心を許せる「親友」を探そうと気負わなくて大丈夫。まずは、笑顔で会釈の「ごあいさつママ」や「顔見知りママ」、無難な話題で数分話せる「世間話ママ」あたりから段階的にいくほうが無理なく自然にお付き合いできます。
- 3さじ加減を大切に
- グイグイ近づき過ぎるのも、逆に、遠慮ばかりも考えもの。会話のキャッチボールは言葉選びや話し方に気をつけながら、程よい距離感でのお付き合いを心掛けましょう。「つかず離れず、ほどほどにゆるく」という感じのさじ加減がおすすめです。