「忙しすぎて」【こそだてDAYS】
6月19日(日)は父の日。そこで、各分野で活躍する滋賀出身者に、普段は口にできない感謝の気持ちなど、お父さんとの思い出を聞きました。リビング読者から寄せられた、お父さんへのメッセージも紹介していますよ。
イラスト/オカモトチアキ
びわ湖真珠を通じて
父ととことん向き合えたのが私の財産
- 杉山知子さん
- 大津市生まれ。神保真珠商店店主
「私は、店を継ぎたいと父に言ったことが2度あります。1度目は短大を卒業したとき。祖父の時代に盛んだった琵琶湖の真珠養殖が衰退していたこともあり、父から反対されて就職しました。
2度目は、その会社を辞めたとき。もちろん父は大反対。以前と違っていたことは、私自身がびわ湖真珠の素晴らしさに気づいたこと。家業を手伝ううちに、自然と人の手がつくり出した美しさに魅了されていたんです。何カ月も父を説得しながら実店舗の出店準備を始め、OKがもらえたのはオープンの2カ月前でした。父はもともと心配性なので、楽観的ですぐ行動に移す娘が心配で仕方なかったんでしょうね。
思えば、こんなに父と真剣にしゃべり、ケンカをし、真正面から向き合ったことはなかったと思います。今一緒に仕事をしながら、知識やノウハウ、人脈など、祖父や父が築いてきたもののありがたさをしみじみ感じています」
父譲りのポジティブさを武器に、
ずっと〝カッコいい〟父親でありたい
- 宇田秀生(ひでき)さん
- 甲賀市生まれ。2021年東京パラリンピックのトライアスロン(運動機能障害PTS4)の銀メダリスト
©Satoshi TAKASAKI/Triathlon Japan Media
「幼い頃から運動が得意で、負けず嫌い。26歳で右腕を失うという事故にあったときも、意識が戻って1週間後くらいの病室で、妻と『こうなったらパラリンピック目指すか』などと話していました。退院後、リハビリのために始めた水泳をきっかけにトライアスロンと出合い、自分流で水泳・自転車・ランの練習を重ねました。ゼロからのスタートなので、やればやるだけ成長できるのが楽しかったですね。
最近よく、自分が父に似てきたと実感。特にこの激動の9年を乗り越えられた一因は、父譲りの性格が大きい気がします。明るく楽天的で勝負好き。運動会などで僕が活躍すると『鼻が高いわ』と喜んでくれたり、事故直後に何日も付き添い、『代われるものなら代わりたい』と言ってくれたり。
僕も今、2人の息子の父親です。目標に向かって元気に頑張る〝カッコいいお父さん〟でいることが、父への恩返しにもなるんじゃないかなと思っています」
無口な背中から学んだ〝全力で働く〟こと
- 森山修斗(なおと)さん
- 草津市生まれ。
プロバスケットボール選手
写真提供/滋賀レイクスターズ
「父は大工で職人気質の無口なタイプ。働く父はカッコよくて、僕も大工になりたいと漠然と思っていました。身長が高かったこともあり、中学では軽い気持ちでバスケ部に入部。父はこまめに試合を見にきたり、遠征時には車を出したりとサポートしてくれました。
中学3年のある日、父に連れられ滋賀レイクスターズの試合を初観戦。目の前の試合に圧倒され、胸が熱くなりました。この体験が、プロを目指すようになった初めの一歩だったような気がします。
大学卒業を機にプロになることを決めたとき、父は『やるなら頑張れ』とひと言。それ以降は、日常会話のみで特別に何かを話したりすることはありません。でも、社会に出て改めて父がずっと変わらず仕事に打ち込み、家庭を支えている姿に尊敬を感じます。僕も、僕の世界で自分に与えられた仕事を全うし、チームを導ける選手になりたいです」
優しいお父さん、毎日仕事を頑張るお父さん、天国のお父さん…。読者から寄せられたメッセージを、ピックアップして紹介します。今年はあなたも「ありがとう」と一言伝えてみては。
「プレゼントをあげても『こんないらない物を買って無駄遣いするな』と言われ、ムスッとしていた私。家庭を持つようになり、あれがお父さんの愛ある表現の仕方なんだなと気づいたよ。何かあったら、必ず守ってくれる存在だと今になって感謝できるようになりました」(でーちゃんさん)
「資格試験を受けたり、新たなことに挑戦をする父。試験に合格したときは、キラキラと輝いて見えました。いつもお仕事お疲れ様&ありがとう。まだまだ元気でいてください」(父の作るたこ焼きが好きさん)
「とっても優しい父。参観日にはいつも来てくれましたね。教室の後ろで笑顔で見守っていてくれて、温かい気持ちになったこと、忘れません。ありがとう」(長生き型カバゴリラさん)
「最後まで厳格を貫いた父へ。子煩悩でありつつ、こうと決めた事は妥協を許さない父。窮屈で苦痛に感じる事もしばしば。最後のときまで学び、自らを律する事を怠らなかった姿を思い出しては、背筋を伸ばす昨今です」(60歳目前になっても父に教育されている娘よりさん)
「突然、門限が午後9時になり、驚きと怒りでしばらく口を聞かなくなったことがあったよね。ずっと分からなかったけれど、子をもつ母親になった今、お父さんの気持ちが分かるようになりました。でもやはり、突然はあかんと思うの。でもありがとう」(まなみさん)
「今年で80歳になるのに、仕事が趣味だ!と言って現役で頑張っているお父さん。その姿こそがずっと私の心の支えです。体にだけは気を付けてね」(イクピンさん)
「なかなか会えないけれど、電話でおしゃべりする機会が前よりも増えましたね。いつも他愛ない話を聞いてくれてどうもありがとう。また電話するね」(こだぬきさん)